2011 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌幹細胞と癌の微小環境(ニッチ)におけるMMPおよびADAMの役割検討
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22592030
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
中村 博幸 国立長寿医療研究センター, 再生歯科医療研究部, 副部長 (30542253)
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Keywords | 癌幹細胞 / TIMP3 / MMP / ADAM |
Research Abstract |
本研究では、口腔癌幹細胞ニッチで幹細胞性維持に関わるプロテアーゼについて、癌増殖・浸潤・転移に重要でかつ細胞外マトリックスに高い分解活性を持つMMPとADAMにターゲットを絞って解析する。これらのプロテアーゼファミリーに特異的なインヒビター(TIMP-3およびAlaTIMP-3)を発現するトランスジェニックマウスを用いて、どのプロテアーゼが癌幹細胞のニッチからの離脱に関わるのかを生体内で明らかにする。昨年度作製したCAGプロモーターを用いたTIMP-3およびAlaTIMP-3発現トランスジェニックマウスではトランスジーンを持つ全ての細胞で発現が観察されなかった。つまり発現遺伝子を持ちながらタンパクの発現がない細胞が多く観察された。これまでCAGプロモーターは細胞の種類によっては働かないことが報告されていたため、本年度はCAGプロモーターの代わりにユビキチンCプロモーターを用いてTIMP-3およびAlaTIMP-3を発現するトランスジェニックマウスの作製を試みた。トランスジーン作製過程で、TIMP-3またはAlaTIMP-3の下流にリボゾームスキップ活性をもつ2AペプチドとmCherrey遺伝子を挿入しこの蛍光タンパクをサロゲートマーカーとして使用できるように設計した。このトランスジーンを胚にインジェクトし2系統のTIMP-3発現マウスと、3系統のAlaTIMP-3発現マウスを樹立した。実際のTIMP-3、AlaTIMP-3タンパクの発現の確認はI型コラーゲンプロモーター調節下にCreリコンビナーゼを発現するマウスと交配することにより行った。その結果、今回作製した全てのマウスでmCherryの発現を確認した。さらにCAGプロモーターを用いたトランスジェニックマウスと異なり、マウス皮膚でほぼすべての線維芽細胞でmCherryの発現を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度作製したTIMP-3またはAlaTIMP-3トランスジェニックマウスは十分なタンパク発現が確認されず、トランスジーンを持ちながらタンパクを発現していない細胞が観察されたため、プロモーターをユビキチンCに変更してトランスジェニックマウスを作製したため計画に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度作製したトランスジェニックマウスは十分なタンパク発現が確認されず、発現遺伝子を持ちながらタンパクを発現していない細胞が観察されたため、プロモーターをユビキチンCに変更してトランスジェニックマウスを作製した。このマウスでは遺伝子を持つ全ての細胞でタンパクの発現が確認された。今年度は当初の目的に沿ってTIMP-3またはAlaTIMP-3発現を確認したユビキチンCをプロモーターにもつトランスジェニックマウスに口腔癌幹細胞の移植を行う。腫瘍形成後、抗癌剤を投与し耐性癌細胞の局在を検討する。
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