2010 Fiscal Year Annual Research Report
三叉神経損傷による神経因性疼痛発症メカニズムの研究
Project/Area Number |
22592035
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
杉本 朋貞 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50135729)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松香 芳三 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (90243477)
|
Keywords | 神経切断 / 三叉神経 / c-Fos / 脊髄路核 / 尾側亜核 / 吻側亜核 / 神経因性疼痛 / 舌神経 |
Research Abstract |
三叉神経知覚核群のうち脊髄路核尾側亜核では、末梢神経損傷後に2次ニューロンの興奮性が変化し、神経因性疼痛の発症に関与する可能性が示唆されている。一方、三叉神経の他の部位においては、末梢神経損傷後にどのような変化が起こっているかはほとんど知られていない。今年度の研究は、舌神経もしくは下歯槽神経損傷後、舌神経に電気刺激を加え、c-Fosタンパクの免疫活性の発現を指標に三叉神経知覚核群各部のニューロンの興奮性の変化を調べたものである。 舌神経損傷後に同神経に電気刺激を行うと、非損傷群と比較して、三叉神経脊髄路核の吻側亜核においてc-Fos陽性細胞数が有意に増加した。一方、下歯槽神経損傷後に舌神経に電気刺激を行うと、非損傷群と比較して、三叉神経脊髄路核の尾側亜核においてc-Fos陽性細胞数が有意に増加した。また舌神経切断後の吻側亜核におけるc-Fos応答の増強は、有髄神経線維のみを興奮させるとされる弱い刺激(0.1mA)に対応するものであったが、下歯槽神経切断後の尾側亜核でのc-Fos応答の増強は無髄神経線維をも興奮させる強い刺激(10mA)に対応するものであった。また、中位亜核や主知覚核では、神経切断の有無にかかわらず陽性細胞はほとんどみられなかった。 以上の結果は、神経損傷後の神経因性疼痛の発症において、三叉神経系の侵害情報の1次中継核として知られる尾側亜核のみならず、吻側亜核のニューロンの興奮性の変化が重要な役割を果たしていることを示唆するものであり、これらふたつの部位が異なる種類の刺激に対して異常な興奮を起こすことを示している。
|
Research Products
(4 results)