2011 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌予防ワクチンの開発に向けた癌原性口腔レンサ球菌表層抗原の同定
Project/Area Number |
22592046
|
Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
佐々木 実 岩手医科大学, 歯学部, 准教授 (40187133)
|
Keywords | 口腔レンサ球菌 / 口腔癌 / ワクチン開発 / 粘膜上皮細胞 / 付着 |
Research Abstract |
Streptococcus anginosusは口腔常在菌の一菌種で病原性は低いと考えられているが,近年,口腔癌をはじめ種々の消化器癌との関連が示唆されている.しかし,現在,本菌の生物発癌に関わる病原因子の解析はほとんどなされていない.昨年度,我々はS.anginosusの上皮細胞株であるGE1細胞およびHEp-2細胞に対する付着性状を明らかにし,さらに細胞外マトリックスタンパク質への付着因子であるフィプロネクチン結合タンパク質(Fbp62)を同定した.本年度は,昨年度のデータを基にFbp62の組換えタンパク質およびfbp62欠損S.anginosus株を作製し,本菌のFbp62がフィプロネクチンおよび上皮細胞への付着における役割を明らかにすること目的として検討を行った.その結果, 1.リコンビナントFbp62はS.anginosus Fbp62遺伝子のCDSをpGEX-4T-2にクローニングした.次に大腸菌(XL1-blue)にトランスフェクトし,リコンビナントタンパク質を発現・精製した.S.anginosus fbp62欠損株はノックアウトベクターpResEmBBNのEm耐性遺伝子下流のSma Iサイトにfbp62のPCRフラグメント(サイズ:424bp)を挿入し,相同組換えにより作製した. 2.リコンビナントFbp62は固相化フィプロネクチンに有意の付着性を示し,S.anginosusの固相化フィプロネクチンへの結合を用量依存的に阻害した.また,S.anginosus fbp62欠損株は固相化フィプロネクチンおよび上皮細胞(HEp-2)への付着が野生株に比べ有意に低かった. これらの成績から,S.anginosusのFbp62はフィプロネクチンを介した上皮細胞への付着機序において重要な付着因子として機能していることが強く示唆された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
22年度にはS.anginosusの上皮細胞への付着性状を明らかにし,付着因子の中でもフィプロネクチン結合タンパク質を遺伝子レベルで同定することができた. 23年度年度には同定したフィプロネクチン結合タンパク質遺伝子の情報を基に組換えタンパク質および欠失変異株を作製し,本付着因子の細胞外マトリックスタンパク質や上皮細胞への付着機序を詳細に検討することができた.従って,現在までの達成度としては,おおむね順調に進展しているといえる.
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでおおむね順調に進展しているので,本研究課題の今後の推進方策として,最終年度は,当初の実験計画通り,これまでのin vitroの実験に加え,実験動物を用いたin vivoの実験を行い,本付着因子のS.anginosus感染における病原因子としての役割,また,そのリコンビナントタンパク質のワクチン(感染防御)抗原としての可能性について検討する予定である.
|
Research Products
(10 results)