2011 Fiscal Year Annual Research Report
良性腫瘍は悪性腫瘍に形質転換するか?唾液腺腫瘍における形態学的・分子病理学的解析
Project/Area Number |
22592049
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
河野 葉子 昭和大学, 歯学部, 准教授 (40195681)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村松 敬 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (00276982)
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Keywords | 唾液腺腫瘍 / 多形腺腫 / 多形腺腫由来癌 / DNA損傷遺伝子 / 形質転換 |
Research Abstract |
唾液腺腫瘍は組織型が多彩である。その中でも多形腺腫由来癌は同一腫瘍内に良性腫瘍と悪性腫瘍を認め、一部移行的な部分が混在することや、良性の多形腺腫でも細胞異型を認めることがある。そこで研究対象として多形腺腫由来癌や異型性を伴う多形腺腫を用い、良性腫瘍部や悪性腫瘍部、移行部で発現しているタンパク質発現の変化を確認するとともに、タンパク質発現で変化が見られた遺伝子に注目し、各因子のメカニズム解析を目的とする。 多形腺腫77症例中の悪性像の有無や細胞異型性の有無を確認した症例を用いて、筋上皮細胞の指標であるp63、α-SMAやサイトケラチン、細胞増殖能の指標であるp53やMIB-1、p16やHER2などの免疫染色、さらにDNA損傷の指標となる、XIAPやMDM2、Chk1、Chk2や細胞周期のCDK4などの免疫染色を行う。さらに、悪性混合腫瘍と診断された症例で、p53、XIAP、p63など免疫染色で発現差異が見られたタンパク質に注目し、パラフィン切片で良性部位と悪性部位から各々DNAを抽出し、PCR法で各遺伝子の発現の異常を解析し、DNAレベルで発現に差異が認められるかどうかを検討する。Skp2は、p27などの細胞周期ブレーキを分解することによりGO期から細胞周期への再進入を促し、細胞増殖を開始させることから、癌化した細胞にSkp2の増殖が認められるかどうかの確認も行なう。細胞培養をヒト唾液腺組織、あるいはマウス唾液腺組織で試み、正常組織にダメージを与えた後、正常とダメージを与えられた組織でのRNAやDNA発現の差異を比較検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
多形腺腫77症例中、細胞異型度の有無を確認したが、全症例で、細胞異型の部分がわずかで、症例を確認することに時間がかかり、予定している免疫染色の進行が遅くなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
速やかに本研究の課題を推進し、学会発表できる結果を出せるよう努力する。症例数は少ないが、脱分化癌と診断された唾液腺腫瘍も加えて、検討する。
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