2011 Fiscal Year Annual Research Report
HGFによる顎下腺原基のEGF受容体トランスアクチベーションの機構
Project/Area Number |
22592054
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
柏俣 正典 朝日大学, 歯学部, 教授 (30152630)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 典子 朝日大学, 歯学部, 講師 (60367563)
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Keywords | 分枝形態形成 / 顎下腺 / 細胞成長因子 / 肝細胞成長因子 / 上皮細胞成長因子 / 受容体 / c-Met / ERK1/2 |
Research Abstract |
平成23年度に実施した研究成果について下記の研究計画別に記載する。 計画1.では培養顎下腺原基にHGF(20ng/ml)を作用させた後に見られるErbBファミリーのリン酸化の亢進をウエスタンブロット法によって確認した。特にErbB1のリン酸化の亢進が起こっていることが分かった。ErbB4はタンパク質レベルが低く、検出は不可能であった。また、MAPKのErk1/2のリン酸化の亢進が顕著に認められた。 計画2.ではBIBX1382(EGF受容体阻害薬)の作用を確認する予定であったが、HGFの顎下腺原基に対する分枝形成促進作用が弱いことが分かったため、本計画の前に顎下腺上皮に対するHGFの効果の確認を行うことにした。すなわち、胎生顎下腺の上皮をディスパーゼ処理後に分離し、マトリゲルで覆って培養した。24時間の培養後に形成される小葉の数をHGFの存在と非存在で比較した。その結果、HGFは顎下腺上皮の小葉形成を濃度依存的に誘導することが分かった。今後はHGFの分枝形態形成の誘導を評価する実験系では顎下腺上皮を用いて行うことしたい。 計画3.ではBIBX1382の顎下腺形態の変化を比較することであるが、前述したようにHGFの分枝形態形成に対する促進作用は胎生13日の顎下腺ではわずかであったが、顎下腺上皮に対しては小葉形成を誘導する効果を確認できた。そのため計画3.では顎下腺上皮の実験系を用いて再実施する必要がある。すなわち、胎生13日の顎下腺原基から上皮を分離してマトリゲルで覆い培養する。なお、平成23年度の研究実施計画である顎下腺の切片を作成して細胞レベルの形態変化を観察する実験については正常の培養顎下腺で行っている。上皮細胞は培養中に分裂と増殖を激しくしており、さらに細胞は不規則的(現在の見解)に移動していることが確認できている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主要点である肝細胞成長因子(HGF)の処理によって顎下腺原基のEGF受容体のトランスアクチベーションの現象が確認されている。しかし、予想に反してHGFの分枝形成促進効果を確認するのに時間を要した。しかし、平成23年度の研究において顎下腺上皮をマトリゲルで覆って培養した系では小葉の形成誘導が起こることがわっかった。この成果は今後の研究に重要な生物学的現象である。
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Strategy for Future Research Activity |
HGFの効果は培養顎下腺上皮(顎下腺上皮をマトリゲルで覆った実験)で確認できる。そのため以後のHGFの分枝形態形成に対する効果は顎下腺上皮を用いて検討する必要がある。今後、明らかにしなければならない点は培養顎下腺上皮から切片を作成して組織観察を行う実験法の確立である。上皮の培養実験ではごく少量の上皮をフィルター上で培養しているため切片作成に技術が必要と思われる。平成24年度の研究でさっそく実施してゆく所存である。
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