2010 Fiscal Year Annual Research Report
ネクロプトーシスによる細胞死におけるスフィンゴ脂質代謝の役割
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22592060
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
横山 三紀 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (70191533)
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Keywords | 細胞死 / ネクロプトーシス / スフィンゴ脂質 |
Research Abstract |
細胞死の分子機構の解明は歯周疾患における炎症・骨破壊の抑制や、抗がん剤や放射線治療の効果の向上につながる基礎となる。細胞死は形態的観察からアポトーシスとネクローシスの二つに分類される。アポトーシスの進行にはカスパーゼによる特異的な蛋白質分解反応が中心的な役割を果たし、「計画された細胞死=カスパーゼ依存性アポトーシス」という理解が広まっている。しかしカスパーゼの活性化が起こらない状況においてもアポトーシスを誘導する刺激がネクローシスの形態を示す細胞死を引き起こす。ネクロプトーシスの生理的意義として(1)カスパーゼを利用できない場合に備えた細胞死実行経路(たとえばウイルス感染により抗アポトーシス因子が発現した場合)、(2)細胞膜崩壊にともない細胞外に漏出する危険信号分子(HMGB1などのアラーミン)による自然免疫応答と組織修復の開始、骨代謝制御が考えられる。現在この「ネクロプトーシス(計画された細胞死としてのネクローシス)」の分子機構に興味がもたれている。ネクロプトーシスにオートファジーが関与することが示唆されているが、ネクロプトーシスにおいて誘導される膜構造物の形成メカニズムは明らかにされていない。平成22年度では膜構造物の形成にスフィンゴ脂質代謝が関与する可能性を検討した。マウスB細胞由来A20細胞を用いてスフィンゴシン添加による膜構造物の形成の有無を電子顕微鏡により観察したところオートファゴソームとは異なる膜構造物の形成がみられた。この構造物の形成はセラミド合成酵素阻害剤であるフモニシンB1の添加により抑制されたことから、新規のセラミド合成にともない膜構造が形成されることが示唆された。
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Research Products
(4 results)