2011 Fiscal Year Annual Research Report
ネクロプトーシスによる細胞死におけるスフィンゴ脂質代謝の役割
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22592060
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
横山 三紀 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (70191533)
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Keywords | スフィンゴ脂質 / 細胞死 / スフィンゴシンキナーゼ / S1P |
Research Abstract |
スフィンゴ脂質は生体膜の構成成分であると共に細胞機能を調節する生理活性脂質としても機能する。特にスフィンゴシン-1-リン酸(S1P)は細胞膜のS1P受容体を介して細胞の運動・走化性を調節する。また細胞内でSIPが産生されることにより細胞増殖が亢進する。しかし近年細胞内でS1Pが産生されることにより非アポトーシス性の細胞死が起こることが報告されている。この現象は免疫抑制剤・多発性硬化症の治療薬であるFTY720による抗がん作用とも関連する。神経細胞においてはスフィンゴシンキナーゼ2(SK2)による小胞体膜でのS1P産生によるカルパイン活性化を介した細胞死誘導のメカニズムが報告された。申請者はすでにスフィンゴシンがSK1/SK2を安定発現させたA20細胞においてその触媒活性に依存して細胞死を起こすこと、その細胞死はアポトーシスではないことを明らかにしている。平成23年度におこなった実験結果からSK1/SK2を安定発現させたA20細胞におけるスフィンゴシン、FTY720による細胞死誘導はカルパイン非依存性であることを見いだした。また[3H]ジヒドロスフィンゴシンを用いてスフィンゴ脂質代謝の解析をおこなったところ、SK1/SK2の導入によるセラミド産生の増加はわずかであり細胞死誘導の原因とはならないと考えられた。セラミド合成阻害剤を用いてもスフィンゴシンによる細胞死誘導の効果は影響を受けなかった。そこでA20細胞においてはカルパイン活性化やセラミドの増加以外のメカニズムによりスフィンゴシン脂質による細胞死が誘導される可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アポトーシスにおいては細胞死誘導のメカニズムよく研究され評価方法も確立されているが、本研究で解析しているスフィンゴシンによる非アポトーシス性細胞死の場合には想定されるいくつかの細胞死メカニズムがどれもあてはまらない、もしくはあてはまることを支持する結果が得られなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞内でのS1P産生により細胞死が起こることは確認しているので、今後は細胞内におけるS1Pの産生部位と細胞死誘導との関連を明らかにしたい。
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Research Products
(6 results)