2011 Fiscal Year Annual Research Report
ストレスに伴う脳活動は、噛み締めによって制御されるか?機能的MRIを用いた研究
Project/Area Number |
22592063
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
中村 浩幸 岐阜大学, 医学系研究科, 准教授 (10211434)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
定藤 規弘 生理学研究所, 大脳皮質機能研究系心理生理学研究部門, 教授 (00273003)
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Keywords | ストレス / 噛み締め / 脳 / fMRI / 神経 / 扁桃体 / 非侵襲的画像計測 |
Research Abstract |
【研究成果の具体的内容】ヒトにおけるストレスや情動によって引き起こされる神経活動と「噛み締め」との関連の神経科学的基盤を、機能的磁気共鳴断層撮影(fMRI)を用いて検討した。(1)当該年度は、昨年開発した噛み締め圧センサを被験者に装着してもらい、fMRIを用いて噛み締め時の脳活動を記録した。その結果、運動野や1次および2次体性感覚野において、噛み締めに相関する神経活動が記録された。問題点として、噛み締め時に頭蓋の動きが出現すること、座位とfMRI内部における仰臥位とで、噛み締め圧センサの接触点が異なっており、噛み締め圧の調節が難しいことが明らかになった。(2)さらに、当該年度は、嫌悪感や怒りの表情と中性的な表情の顔のデータベースから、情動ストレス視覚刺激画像を作製した。この視覚刺激を刺激提示用ソフトウェアPresentation(Neurobehavioral systems, Inc.)を用いて、ブロックデザインで感情顔あるいは中性顔の画像を15枚ずつ連続で提示し、各ブロック直前に噛み締め圧を教示するスクリプトを作製した。この刺激システムを用いて、異なる噛み締め圧を加えた状態で、感情顔あるいは中性顔の視覚刺激を表示し、fMRIを用いて被験者の脳活動を記録した。同時に心拍数と呼吸をモニタし、情動反応の指標とした。 【意義】噛み締め圧を変化させることによって、噛み締めに関連する脳活動を、fMRIを用いて記録した。さらに、心拍数や呼吸モニタによって、情動反応の記録を同時に行えた。顔表情画像によるfMRI記録を行い、噛み締めと脳活動との関連を記録した。 【重要性】情動による神経活動と噛み締めとの関連の神経科学的基盤を、fMRIを用いて明らかにする準備が整った。ストレス制御に関して直接脳活動との関連を研究できることが重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1)噛み締め圧計測装置の開発に時間がかかった。(2)ヒトの表情画像を多数準備することが、当初考えていたよりはるかに困難であった。特に、当該年度から、大垣ソフトピアから発売されていた画像データベースの使用許可が得られなくなったため、視覚刺激作成の困難さを増大させた。当該研究パラダイムには、200人分以上の顔画像が必要で、この確保が困難を極めた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在撮像してあるfMRI画像を解析し、噛み締めと表情との相関を明らかにする。呼吸や脈拍などの生理学的指標と脳活動との相関を解析する。これらのデータをもとに、さらに被験者を増やす。最大の問題点は、20人程度の被験者からfMRI画像を収集する必要があることである。時間と実験機器、被験者の確保が、今後重要である。顔画像は、印象が強いため、同一人物の顔が2回以上視覚刺激として出現すると、扁桃体活動は極端に減衰してしまう。この現象を避けるためには、表情顔と中性顔それぞれ100人以上の異なった人物の顔が必要である。したがって、今後も顔画像データベース検索を継続して行う。
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Research Products
(2 results)