2010 Fiscal Year Annual Research Report
In vivo遺伝子発現系を用いた唾液腺腺房細胞における分泌の分子機構の解明
Project/Area Number |
22592075
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
森田 貴雄 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (20326549)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷村 明彦 北海道医療大学, 歯学部, 准教授 (70217149)
根津 顕弘 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (00305913)
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Keywords | 唾液腺 / シグナル伝達 / アデノウイルス / GFP / Ca^<2+> / 遺伝子導入 / 唾液分泌 / 薬理学 |
Research Abstract |
本研究は、アデノウイルスを唾液腺開口部から逆行性に注入し、in vivoで唾液腺腺房細胞にシグナル分子を発現させることにより、唾液腺腺房細胞からの唾液分泌における分子メカニズムを明らかにすることを目的とする。 mKO1蛍光タンパク質と小胞体Ca^<2+>センサーであるStim1を融合したタンパク質(Stim1-mKO1)を発現するアデノウイルスベクターを作製した。実体顕微鏡下で、ラットの顎下腺開口部からアデノウイルスを逆行性に注入し、ラット顎下腺組織にin vivoでStiml-mKO1を発現させた。実体顕微鏡で観察したところ、Stim1-mKO1の蛍光は顎下腺全体に見られたが、舌下腺には蛍光は見られなかったことから、顎下腺での発現が特異的であることが示された。組織切片を調製して共焦点レーザー顕微鏡で観察したところ、Stim1-mKO1は顎下腺腺房細胞の約20%に発現が見られ、導管細胞では1-2%に発現していた。このことから、本法を使って顎下腺腺房細胞に効率的に外来タンパク質を発現できることが示された。さらに、酵素処理により分離顎下腺腺房細胞を調製し、Stim1-mKO1の機能を調べた。タプシガージンなどの小胞体Ca^<2+>ポンプ阻害剤で誘導されたCa2^<2+>ストアの枯渇により、Stim1-mKO1が内在性Stim1分子と同様に細胞膜近傍へ移動することが示された。加えて、Stim1-mKO1発現細胞では、ストア枯渇により誘導される容量性Ca^<2+>流入が増大することが示された。これらの結果から、アデノウイルスによって導入、発現したStim1-mKO1は生体内の唾液腺細胞で機能的であることが示された(Morita et al.,Arch,Oral Biol.,56,2011)。 また、Stim1-mKO1を導入したラットの唾液分泌が亢進する可能性があることがわかった。これについては、さらなる解析を進めているところである。
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