2011 Fiscal Year Annual Research Report
In vivo遺伝子発現系を用いた唾液腺腺房細胞における分泌の分子機構の解明
Project/Area Number |
22592075
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
森田 貴雄 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (20326549)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根津 顕弘 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (00305913)
谷村 明彦 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (70217149)
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Keywords | 唾液腺 / シグナル伝達 / GFP / 唾液分泌 / アデノウイルス / 遺伝子導入 / カルシウム / 薬理学 |
Research Abstract |
本研究は、アデノウイルスを唾液腺開口部から逆行性に注入し、in vivoで唾液腺腺房細胞にシグナル分子を発現させることにより、唾液腺腺房細胞からの唾液分泌における分子メカニズムを明らかにすることを目的とする。 顎下腺開口部からアデノウイルスを導入し、ラット顎下腺組織にin vivoでmKO1蛍光タンパク質標識Stim1(Stim1-mKO1)を発現させた。酵素処理により調製した分離顎下腺腺房細胞を用いて、Ca^<2->応答を調べた。Stim1-mKO1発現細胞では、ムスカリン受容体刺激(カルバコール、CCh)によるCa^<2+>流入量の増大に加えて、ストアからのCa^<2+>放出量が大きくなった。この放出量増大の割合は、低濃度のCCh刺激ほど大きかった。また、Stim1-mKO1発現細胞ではCa^<2+>イオノフォア(イオノマイシン)による放出量が増加した。さらにIP_3受容体のIP_3に対する感受性を調べたところ、Stim1-mKO1発現のあるなしでその感受性に違いは認められなかった。これらのことから、Stim1の発現によってCa^<2+>ストアが増大した可能性が考えられた。 受容体刺激によるCa^<2+>応答が増強したことから、Stim1発現により唾液分泌量が増加する可能性が考えられた。そこで、Stim1-mKO1をラット顎下腺の片側に発現させ、ムスカリン受容体アゴニスト(ピロカルピン)投与による唾液分泌をコントロールと比較すると、分泌量の増大が観察された。しかし、この分泌量の増加は条件によって大きな差があり、さらなる検討が必要である。 Venus-Orailを発現するアデノウイルスを作製し、Stim1-mKO1発現ウイルスと共に導入したところ、これらを共発現する顎下腺腺房細胞が観察された。このことから、複数の外来タンパク質を同時に発現させ、FRETによる分子の相互作用の解析に応用できることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Stim1-mKO1発現唾液腺細胞におけるCa^<2+>シグナルと分子動態の解析、および唾液分泌解析については、予想以上の結果が得られたため、これについての詳細な解析を先に行っており、かなり進展している。このため、シグナル分子のsiRNAを発現するウイルスベクターの完成が遅れており、これを使った実験があまり進展していない。また、生きた動物で唾液腺組織中のCa^<2+>シグナルの測定に成功し、これについては計画以上の進展が見られている。
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Strategy for Future Research Activity |
シグナル分子(Stim1)の発現による、Ca^<2+>応答および唾液分泌の増強がみられたため、これらの解析を先に進めるとともに、ノックダウンのよる影響やFRETによる分子相互作用の解析も行う。 唾液分泌の解析については、発現量、刺激アゴニストの濃度や種類など多くの要素が関係するため、これらの条件設定を行ってから詳細な解析に進む必要がある。
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