2011 Fiscal Year Annual Research Report
口腔・顔面・舌感覚と咀嚼時に生じる顎・顔面・頭部運動の制御機構解明
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22592079
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
佐藤 義英 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 准教授 (20287775)
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Keywords | 咀嚼 / 顎・顔面・頭部運動 / 口腔・顔面・舌感覚 |
Research Abstract |
咀嚼時に生じる顎運動と頭部運動の中枢性制御機構を解明するため、まずラットをウレタンで麻酔し、皮質顎顔面運動野の連続電気刺激によりリズミックな顎運動を誘発させた。この時、顎運動ならびに咬筋、顎二腹筋前腹、胸鎖乳突筋、板状筋から筋電図を記録した。次に顎運動中に、顎運動と頭部運動の制御に関係していると考えられる内側前庭神経核の電気刺激を行った。そして顎運動と各筋電図活動にどのような変調が見られるか検索し、以下のことが明らかとなった。1、板状筋は口腔顔面運動野刺激後、最初に生じる開口運動に伴って活動が上昇した。そしてリズミックな顎運動中、開口相の間、または開口相から閉口相へ移行する間、リズミックな群発活動が見られた。一方、胸鎖乳突筋は顎運動中、群発活動は見られなかった。2、閉口相で内側前庭神経核を刺激した場合、閉口運動の振幅が増加し、咬筋と胸鎖乳突筋で群発活動が誘発され、板状筋の活動時間が増加した。3、開口相で内側前庭神経核を剃激した場合、小さな閉口運動が誘発された。また咬筋と胸鎖乳突筋で群発活動が誘発され、顎二腹筋前腹と板状筋の抑制が生じた。これらのことから、内側前庭神経核は皮質誘発性顎運動中の顎筋と頸筋の変調に関与していることが示唆された。 次にウレタン麻酔下ラットを用いて。硬口蓋の機械刺激により、リズミックな顎運動を誘発させた。そして前庭神経核ニューロンからの細胞外記録と咬筋・顎二腹筋前腹からの筋電図記録を行った。その結果、内側前庭神経、外側前庭神経核、上前庭神経核と下前庭神経核から、顎運動中、発火頻度が増加または減少するニューロンが記録された。 発火頻度の変化と顎運動の相(開口相と閉口相)の間に関係はなかった。また、これらニューロンの発火頻度は、受動的な開口に対し変化しなかった。これらのことから、前庭神経核は顎運動の調節に関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成22年度から23年度に計画した4つの実験のうち2つが完了し、残り2つを遂行しなくても、当初の目的がおおよそ達成されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは麻酔下ラットを使用した急性実験のみ行ってきたので、今後は自由運動下のラットを用いて慢性実験を行うことを予定している。具体的には、実際に咀嚼している際の前庭神経核ニューロン活動の記録や前庭神経核刺激を行った際の咀嚼運動や咀嚼筋筋電図活動を検索する。
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Research Products
(4 results)