2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22592080
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
千葉 忠成 日本歯科大学, 生命歯学部, 准教授 (60350138)
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Keywords | MALT1遺伝子 / 細胞増殖能 / 質量分析 |
Research Abstract |
本研究では、MALT1による細胞増殖能、浸潤・転移能を指標に関連遺伝子を含めた制御因子の探索とその機能解析を目的としている。昨年度までにMALT1の機能ドメイン欠失タンパク質発現ベクター<完全長MALT1(wtMALT1)、deathドメイン欠失MALT1(Ig-caspaseMALT1)、deathドメインーIgドメイン欠失MALT1(caspaseMALT1)、caspaseドメイン欠失MALT1(d-IgMALT1)、death/caspaseドメイン欠失MALT1(IgMALT1)、Ig/caspaseドメイン欠失MALT1(dMALT1)>の構築を行い、口腔扁平上皮癌細胞(HSC2)の安定株を樹立した。wtMALT1を恒常的に発現するHSC2細胞とHSC2細胞のタンパク質量の変動をSDS-PAGEで解析した結果、大きく変動したタンパク質が10種類確認された。変動タンパク質は質量分析装置で解析したところ、転写因子(ZIC687)、DNA修復因子(RAD51)、ケラチン類(K5、K14、K17)などがwtMALT1の増加により減少することがわかった。さらにwtMALT1の増加によりケラチン類(K8、K18)が増加することが確認された。ケラチン類の変化は細胞増殖能との関連性が高いことから、xCELLigence(ROCHE製)を用いた細胞増殖解析を行なった。結果、wtMALT1を恒常的に発現するHSC2で増殖能の低下が認められた。ドミナントネガティブに作用するcaspaseMALT1を恒常的に発現するHSC2ではHSC2細胞より増殖能が亢進した。 現在、二次元電気泳動を用いて、さらに変動するタンパク質を同定し、増殖能と変動タンパク質との関連性を解析中である。 さらにcDNAを用いたマイクロアレイでも変動遺伝子の比較を行なっており、細胞周期、細胞骨格系の遺伝子が多く変動していることがわかってきた。 今後、タンパク質、遺伝子の双方から細胞増殖能および浸潤・転移能を制御する因子の検索と機能解析を進めて行く予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
口腔癌の進展に関わる形質変化、分化、浸潤、増殖動態を抑制に働く因子の探索と機能について解析を進めている。MALT1の発現は細胞の増殖能、浸潤・転移能を著しく低下させることが明らかとなった。関係因子としてケラチン分子の存在が質量分析から明らかとなり、MALT1との関連性を調べているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
口腔扁平上皮癌では、MALT1の発現停止に伴い、浸潤・転移能および増殖能の顕著な増大が明らかとなった。一般に血球系におけるMALT1の機能とは全く逆の反応を示す。このことから上皮系細胞におけるMALT1はこれまでと異なる経路を有している可能性が示唆される。現在、行なっている網羅的な解析から、MALT1の新規の機能および反応経路が見つかると確信している。
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Research Products
(1 results)