2011 Fiscal Year Annual Research Report
白金ナノコロイドを応用した低細胞ストレス修復法の確立
Project/Area Number |
22592107
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
野田 守 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (10301889)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 英彦 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (90205998)
中沖 靖子 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (50302881)
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Keywords | 白金 / ナノコロイド / ストレス / 修復 |
Research Abstract |
白金ナノコロイド自体の細胞内ミトコンドリア活性、細胞防御機構の一つである細胞内グルタチオン濃度への影響について明らかとなった。実際に光重合型コンポジットレジンの重合には、3級アミン(ジメメチルアミノエチルメタクリレート)と感光材(カンファーキノン)を利用してラジカルを発生させていることから、これらの物質を用いて細胞培地内でラジカルを発生させて細胞への影響を調べた。 ラジカル発生条件下では細胞内ミトコンドリア活性は劇的に低下し、細胞内グルタチオン濃度も低下の傾向が認められた。このことから、発生したラジカルは細胞内に侵入して細胞内代謝に対して非常に強く抑制的に作用していることが示唆された。ラジカル発生条件に白金ナノコロイドを添加して細胞活性を測定したが、若干のミトコンドリア活性への抑制作用を弱める効果を認めたものの有意な差はなかった。このことから、白金ナノコロイドが細胞外で発生したラジカルを捕捉することでのラジカル除去効果については低いと思われた。 一方、ラジカルが細胞代謝系に強く影響することが明らかとなった。光重合型コンポジットレジンにつては、構成成分(モノマー、重合開始材、重合促進剤他)のそれぞれの細胞代謝への影響は検討されているものの、複合作用や発生したラジカルの影響に関しては検討がなされていない。そこで、発生したラジカルが細胞防御機構やアポトーシスに誘導に関与しているかに検討を加えた。その結果、細胞内代謝を抑制することでグルタチオンの合成経路に何らかの作用を及ぼしていることが明らかとなるとともに、アポトーシス誘導に重要な役割を持つカスパーゼ3/7活性の有意な上昇を認めた。従って、生じたラジカルがアポトーシスの誘導に関与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
一般的に言われている白金ナノコロイドが細胞内でのラジカルの捕捉能が細胞外ではほぼ期待できないことが明らかとなったため。
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Strategy for Future Research Activity |
白金ナノコロイドを添加しての細胞外ラジカルの除去は困難である,一方、コンポジットレジンの重合に利用されているラジカルがアポトーシス誘導に関与していることは新知見である。従って、ラジカルが細胞内代謝経路にどのように影響するかについて検討を加えていく予定である。
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Research Products
(1 results)