2011 Fiscal Year Annual Research Report
歯根修復における新しいバイオハイブリッド型材料の開発
Project/Area Number |
22592110
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小林 洋子 (岩松 洋子) 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (50261524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西原 大輔 東北大学, 大学院・歯学研究科, 大学院非常勤講師 (10431587)
市川 博之 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (20193435)
小松 正志 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (10005069)
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Keywords | 歯学 / 生体材料 / 再生医学 / 細胞・組織 / 歯根修復 |
Research Abstract |
高齢者にみられる根面う蝕や歯根破折は天然歯の保存を難しくしている一要因である。現在、これらに対して主として歯冠修復に用いられる接着性レジンによる修復処置がなされているが、この方法だと天然歯根にみられる歯根膜組織の回復までに至っていない。本研究では、新たな歯根修復材料として、ヒト歯根膜由来培養細胞あるいはヒト智歯歯胚から得られた間葉系幹細胞を用いて、バイオマテリアルとハイブリッド化することで、歯根膜組織を有する新たな歯根修復用バイオハイブリッド型材料開発を目的としている。 今年度は、前年度までに確立された、培地を従来のDMEM培地から幹細胞培養用のMSCGM培地に変えることで、ヒト歯根膜あるいはヒト智歯歯胚から、間葉系幹細胞のマーカーの一つであるSTRO-1陽性細胞を効率的に得る方法を用いて、その分化ならびに生体材料への付着細胞の動態について検討した。ヒト歯根膜由来STRO-1陽性細胞はコロニー形成がみられ、アクチンフィラメントに特異的に結合するファロイジン染色で紡錘形から球形への形態変化が観察された(Endo, Iwamatsu-Kobayashi et al.(2011))。また、ヒト歯胚由来STRO-1陽性細胞を骨あるいは軟骨誘導培地にて誘導し、組織学的に観察したところ、それぞれアリザリン赤陽性骨様基質あるいはアルシアン青陽性軟骨様基質の分泌が観察され、多分化能が示唆された(Iwamatsu-Kobayashi, Nishihara et al.(2011))。4-META/MMAレジン上で培養した細胞についても、同様の分泌が観察された。さらに、多孔質チタン膜上における細胞付着についても観察を行い、多孔性の違いによって細胞接着因子の一つであるフィプロネクチンの分泌パターンが異なることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成23年3月11目に発生した東日本大震災の被害を受け、実験実施場所である東北大学内の実験室のある建物が6日間立ち入り禁止となった上、約2週間停電となった。そして、かなりの実験設備が損壊し、培養中であった細胞が全滅したり、実験に用いていた試薬が使用不可能となったりしたため、研究に大きな支障を来した。
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Strategy for Future Research Activity |
震災復興支援等により、実験設備は修理あるいは購入してかなり使用可能となり、試薬等もだいぶ揃えることが出来てきた。いまだ、建物の修理等は続いているが、少しずつ以前のような実験体制が整いつつある。平成23年度で遅れた研究内容を少しでも挽回すべく、今後はできる限り効率的な研究を目指して取り組んでいきたい。
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