2010 Fiscal Year Annual Research Report
レジン修復物の重合収縮応力緩和と接着性能同時向上効果を有する臨床技法の開発
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22592115
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
吉川 孝子 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (00182733)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
趙 永哲 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (50431929)
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Keywords | コンポジットレジン / C-factor / 接着強さ |
Research Abstract |
レジンの接着強さは、平坦面な被着体に対して評価されることが多いが、臨床的な窩洞の多くはI~V級の3次元的な窩洞である。平坦面以外の窩洞では、レジンの重合収縮により、修復物と窩壁部とのギャップが生じ易く修復歯の予後に重要な影響を与えている。一方、重合収縮による応力を表すC-factorはI級窩洞で最大となる。著者らは、C-factorが大きいと窩底部象牙質におけるレジンの接着強さが低下することを既に報告している。そこで本研究では、レジン修復物のI級窩洞側壁部における接着強さについて検討した。 ヒト大臼歯の咬合面エナメル質を削除した、象牙質平坦面に3x5x2mm(C-factor=3.1)のI級窩洞を形成した。一方、コントロールとして、窩洞形成後に側壁周囲の壁を取除いた平坦面(C-factor=0.2)試料を作製した。これらの窩洞と側壁平坦面を3種の接着システム、Clearfil Mega Bond(クラレメディカル)、Single Bond (3M ESPE)、Clearfil Tri-S Bond(クラレメディカル)を用い製造者指示に従い処理した後、処理面にZ100(3M ESPE)のレジンを填塞もしくは、縦3mm、横5mm、高さ2mmに築盛した。実験用ハロゲンランプ電圧可変光照射器(ジーシー)を用い、出力600mW/cm^2で40秒間光照射を行いレジンを重合硬化させた。37℃暗所水中に24時間保管後、レジン-象牙質界面に垂直に、界面の面積約1mm^2の試片を切り出した。これら試片の両端を試験装置にシアノアクリレートで接着させ、EZ test(島津製作所)に装着して、クロスヘッドスピード1mm/minで微小引張り接着強さ(μ-TBS、MPa)を測定した。測定値(n=9)は、Bonferroni testを用いて統計処理を行った。その結果、象牙質窩洞側壁部での接着強さは、Clearfil Mega Bond、Single Bond、Clearfil Tri-S Bond共に、側壁平坦面試料より有意に低かった。 窩洞側壁部におけるレジン修復物の接着強さは、C-factorの影響を受けることが判明した。
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