2010 Fiscal Year Annual Research Report
機能性モノマーと光重合開始剤が歯質接着に及ぼす影響:分子レベルでの解析
Project/Area Number |
22592120
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小河 達之 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (10346421)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 靖弘 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (90281162)
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Keywords | 歯学 / 接着 / 界面 / 機能性モノマー / 光重合開始剤 / 10-MDP / エナメル質 / 象牙質 |
Research Abstract |
機能性モノマーである10-MDPが歯質表面でどのような挙動を示すかを検討した。本年度は,エナメル質と象牙質上での10-MDPの反応メカニズムを論文としてまとめるため,以下の項目に関して試料数を増やすなど追加実験を行い,論文を投稿した。 <薄膜X線回折(XRD)> クラレメディカル社製メガボンドセルフエッチングプライマー,15wt%10-MDP試作セルフエッチングプライマー(エタノール45wt%,蒸留水40wt%)をウシ抜去歯エナメル質および象牙質に一定時間反応させ,その歯面を薄膜XRDにて分析し,粉末XRDの結果と比較検討した。10-MDP分子が2分子向かい合った形の層状構造を形成し,エナメル質表面では象牙質に比べてその量は少なかった。特にその傾向はメガボンドセルフエッチングプライマーで強く,エナメル質では検出限界以下であった。 <引張り接着試験> 任意の濃度の10-MDP溶液について,光重合開始剤であるカンファーキノンを添加ならびに無添加のセルフエッチングプライマーを試作した。ウシ抜去歯の象牙質を#600の耐水研磨紙にて注水下で研磨した後,それぞれのセルフエッチングプライマーで処理したものを被着体として,引張り接着試験を行った。引張り接着試験より,10-MDPの層状構造が厚い場合は接着力が低下することが示唆された。さらに,上記のように破断面には層状構造が検出されたことから,層状構造の内部で破断したことが明らかとなった。この傾向は10-MDPの濃度の高い試作プライマーに顕著に認められ,層状構造の厚さ相関があることから,カンファーキノン無添加のセルフエッチングプライマーでは光重合触媒が層状構造内部まで浸透せず,重合が不十分になったためと考えられる。
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Research Products
(1 results)