2011 Fiscal Year Annual Research Report
歯内-歯周疾患に対する新たな治療法の確立;補体調節因子の制御
Project/Area Number |
22592124
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
作田 哲也 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (20284888)
|
Keywords | 歯内治療学 / 歯内-歯周疾患 |
Research Abstract |
本年度は、ヒト歯肉線維芽細胞を供試し、フローサイトメトリーにより補体調節因子(CD46 : MCP ; membrane cofactor protein, CD55 : DAF ; decay accelerating factorとCD59 : MIRL ; membrane inhibitor of reactive lysis)の発現動態について検討した。 ■研究方法ヒト歯肉線維芽細胞を10%FBS添D-MEMで培養し、辺縁性歯周炎における歯周ポケット内や根尖性歯周炎における根管内から分離され、両疾患の成立にも関与すると目される、Prevotella intermedia由来のLPS (lipopolysaccharide;リポ多糖)で刺激した際に発現する補体調節因子をフローサイトメトリーにより解析した。 ■結果ヒト歯肉線維芽細胞には、CD46,CD55とCD59の発現を認めることができた。また、LPSで刺激すると、ヒト歯肉線維芽細胞におけるCD59は刺激の2日後より発現の増強が認められた。またその発現の増強は、刺激後、7日まで認めることができた。 ■考察ヒト歯肉線維芽細胞においては、3種類の補体調節因子が発現しており、それらの補体調節因子が相互に影響し合って、自身の周囲環境における補体反応を制御していることが示唆された。また、細菌感染に対して自ら補体制御因子を発現して、補体による攻撃を回避しているものと考えられた。さらに、刺激物質が存在すると補体調節因子であるCD59は長期間発現することとなり、周囲環境の炎症反亦が終息するまで補体調節因子による過剰な補体反応の制御が続くことが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
フローサイトメトリーの条件(抗体の選択)決めに時間を要してしまったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
炎症と補体制御因子との関連を解析していく中で、疼痛関連物質であるアナンダマイド(AEA)との関連に着目し、現在、ヒト歯肉細胞とヒト歯髄細胞を用いてAEAによるマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の発現を解析している。補体制御因子のいくつかはMMPにより切断され、細胞から離れ、補体攻撃からの防御能を喪失することとなる。特発性歯髄炎の原因の一つとして種々の疼痛関連物質の関与が示唆されており、補体系の関与の可能性についても検討を加えていく。
|