2010 Fiscal Year Annual Research Report
軸索反射によって産生される過剰神経ペプチドの特発性歯髄炎への関与
Project/Area Number |
22592125
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
小山 徹 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (60233623)
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Keywords | 特発性歯髄炎 / 軸索反射 / 神経ペプチド / 神経原性炎症 |
Research Abstract |
特発性歯髄炎の病因に神経ペプチドが関与するということはこれまで示されていない。神経原生炎症は、軸索反射によって誘導されたSubstance P、Calcitonin gene-related peptide(CGRP)、Nurokinin A、Neuropetide Y、Vasoactive intestinal pepide(VIP)、anandamideなどの神経ベプチドによって引き起こされると考えられる。特発性歯髄炎が軸索反射により産生される神経ペプチドによって引き起こされるという仮説を証明するため以下のような研究を行った。さらに、神経ペプチドの1種といわれているアナンダマイド刺激時のシグナル伝達経路について検討した。 1.各種歯髄細胞でのMMPs発現の確認 当研究室でストックしている複数の歯髄細胞を10%ウシ胎児血清を含むDMEM(Dulbecco's modified Eagle's medium)培地にて増殖させ、実験には継代数5~10代までを用いる。コンフルエントに達した細胞は1%ウシ胎児血清を含むDMEM培地で24h培養し、その後神経ベブチドであるSubstance P(SP)、Calcitonin gene-related peptide(CGRP)、Neurokinin A(NKA)、Neuropeptide Y(NY)、Vasoactive intestinal peptide(VIP)、anandamide(AEA)、で一定時間刺激する。その後、細胞を回収し上清および細胞抽出タンパクよりウエスタンプロットを行い、MMPsタンパク産生を確認した。 2.アナンダマイド刺激に関与するシグナル伝達を検討するために培養歯髄細胞をアナンダマイドで刺激した時のMAPK(ERK1/2,p38MAPK JNK)の活性化をウエスタンブロット法にて調べた。 3.アナンダマイドが誘導するMMP-2産生にMAPKのどの系が関与するか検討するために、培養歯髄細胞をERK1/2,p38,JNKの阻害剤であるUO120,SB203580、SP600125で前処理後、アナンダマイドで刺激し、MMP-2産生をウエスタンブロット法にて調べた。 以上より、次の結果がえられた。 1.アナンダマイド、CGRP、VIP、SubstancePは、MMP-2産生を誘導した。2.アナンダマイド刺激は、p38MAPK,JNKを活性化した。 3.アナンダマイドが誘導するMMP-2産生は?JNKの阻害剤であるSP600125において有意に抑制された。以上の結果よりアナンダマイドは、主としてJNK活性化を介してMMP-2産生を誘導し歯髄炎の進展増悪に影響を及ぼしている可能性が示唆された。
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