2011 Fiscal Year Annual Research Report
軸索反射によって産生される過剰神経ペプチドの特発性歯髄炎への関与
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22592125
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
小山 徹 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (60233623)
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Keywords | 特発性歯髄炎 / 軸索反射 / 神経ペプチド / 神経原生炎症 / アナンダマイド / マトリックスメタロプロテアーゼ |
Research Abstract |
特発性歯髄炎の病因に神経ペプチドが関与するということはこれまで示されていない。神経原生炎症は、軸索反射によって誘導されたSubstanceP、Calcitonin gene-related peptide (CGRP)、Nurokinin A、Neuropeptide Y、Vasoactive intestinal peptide(VIP)、anandamideなどの神経ペプテドによって引き起こされると考えられる。昨年までに、1.アナンダマイド、CGRP、VIP、SubstancePは、MMP-2産生を誘導すること、2.アナンダマイド刺激は、p38MAPK,JNKを活性化すること、3.アナンダマイドが誘導するMMP2産生は、JNKの阻害剤であるSP600125において有意に抑制されることを明らかにしたが、今年度は以下の研究を行い、新しい知見を得た。 1.ヒト歯髄細胞を、D-MEM(10%ウシ胎児血清含有)でコンフルエントになるまで培養後、1%ウシ胎児血清含有D-MEMで24時間前培養したものを以下の実験に使用した。 2.ヒト培養歯髄細胞におけるアナンダマイドレセプターCB1、CB2、TRPV1の発現をウェスタンブロット法で検討した。 3.ヒト培養歯髄細胞をCB1、CB2、TRPV1のアンタゴニストを用いて前処理した後アナンダマイドで刺激し、MMP-2産生の阻害の有無をウェスタンブロット法で検討した。さらに、アナンダマイド刺激時のMMP-2産生への関与が示唆されたレセプターについてはsiRNAにてknock downし、その影響を確認した。 以上より、次の結果がえられた。 1.ヒト培養歯髄細胞におけるCB1、CB2、TRPV1の発現をウェスタンブロット法にて確認した。2.ヒト培養歯髄細胞においてアナンダマイドが誘導するMMP-2産生はCB1およびTRPV1のアンタゴニストにより抑制された。また、siRNAによるknock down実験でも同様の結果が得られた。以上の結果から、アナンダマイドがCB1、TRPV1さらには、主としてJNKを介してMMP-2産生を誘導している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒト培養歯髄細胞系において、アナンダマイド刺激時のMMP-2産生におけるシグナル伝達経路をある程度解明できた。他の神経ペプチドについてはまだ解明できていないので、これが次年度の課題となると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目および2年目ではアナンダマイドに焦点をしぼり、アナンダマイドが誘導するMMP-2産生におけるシグナル伝達経路を明らかにした。さらに、歯髄細胞培養系においてアナンダマイドのレセプターであるCB1、CB2、TRPV1の発現をウェスタンブロット法で確認した。 今後は、神経原生炎症に重要な役割を果たしていると考えられているサプスタンスPを中心に、他の神経ペプチドについても検討していきたい。
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