2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22592127
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
池見 宅司 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (80102565)
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Keywords | 自由電子レーザー / Er:YAGレーザー / パルス幅 / 蒸散の様相 / 高速度カメラ / 削除片 / SEM観察 / 昇温 |
Research Abstract |
自由電子レーザー(FEL)は、波長可変性だけでなくフェムト秒オーダーの極短パルス構造を有しており、波長の違いだけでなく、パルス幅の違いが被照射体に与える影響を検討する上で、有益な情報を与えてくれる。そこで、日本大学量子化学研究所電子線研究施設所有のFELを使用し、パルス幅の影響を調べることを目的として、FELの波長を2.94μm、照射エネルギー密度239mJ/mm^2、繰り返しパルス数5pps、照射時間5秒間として、象牙質蒸散時の様相と蒸散深さについてEr:YAGレーザーと比較し、さらに、FELの波長の違いによる象牙質蒸散深さと温度変化について調べた。 その結果、高速度カメラで得られたウシ象牙質蒸散時の1/8000秒の画像から、Er:YAG照射では象牙質削除片の飛散が観察でき、削除片のSEM像から、100μm~10μmの大小さまざまな削除片が観察できた。FELでは削除片の飛散を観察できなかったが、収集した削除片のSEM像から、20μm程度の微細な削除片が多く認められた。Er:YAGとFELの蒸散深さは、各々208、670μmで、FELではEr:YAGの3倍以上の蒸散深さであった。FELの波長を2.50、2.94、3.50、4.00μmに変化させた際の蒸散深さは、各々35、671、414、220μmで、波長2.94μmにおいて有意に蒸散深さが大きくなり、昇温ピークは、照射側で各々2.4、2.2、2.0、2.2℃であり、歯髄側では1.1、1.1、1.3、1.3℃であった。以上のことから、2.94μmに近似した波長で、パルス幅が熱緩和時間よりも短いレーザーを使用することによって、象牙質を効率的且つ熱を発生することなく蒸散できることが示唆された。今後、一般的臨床で極短パルスレーザーを歯質削除に利用することができれば、無注水で歯髄や象牙質表層に熱の傷害を与えることなく削除が可能となり、将来に向けた歯科用レーザー開発の一助となるものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は歯質に対するFELとEr:YAGレーザーの比較において、FELでは被照射体の温度上昇が軽微で熱変性は認められないことが判明した。本年度は高速度カメラによる象牙質削除時の様相と削除片の形態を比較検討して、FELのような極短パルス幅を有するレーザーの蒸散特性が観察でき、象牙質削除能に優れ、波長の違いによる温度上昇も軽微で、歯質削除時に非常に有用であることが判明し、当初の計画通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
象牙質とコンポジットレジンの接着強さは、修復物脱落や二次う蝕予防の観点からも重要な検討課題と考えられる。削除時の発熱による象牙質の変性ならびに窩底面の形状が象牙質接着性に与える影響を調べるために、FEL、Er:YAGおよびエアタービンバーで削除した象牙質に対するコンポジットレジンの接着強さについて検討する予定である。また、Er:YAGレーザーのチップの種類による削除片の飛散状態と蒸散深さについても調べる予定である。
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Research Products
(1 results)