2011 Fiscal Year Annual Research Report
接着耐水性を有する新規シランカップリング剤の開発とコンポジットレジンへの応用
Project/Area Number |
22592132
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
二瓶 智太郎 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (50237781)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 行成 東京理科大学, 工学部, 准教授 (70277276)
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Keywords | シランカップリング剤 / コンポジットレジン / 接着性 / 耐水性 / 耐久性 |
Research Abstract |
研究実施計画に基づき,平成22年度は新規疎水性シランカップリング剤を種々合成,開発し,その処理効果がガラス面に対する接着強さから耐水性も有することが確認できた。本年度(平成23年度)は,長期水中保管後の処理ガラス面とコンポジットレジンとの接着強さと,またこの疎水性シランカップリング剤で処理したナノシリカフィラーを用いて試作ナノハイブリッドコンポジットレジンを製作し,水中保管後の機械的強さからガラス面処理と同様に耐水性を有するか,さらに摩耗試験からカップリング効果が有効であるか検討した.その結果, 1.合成したフルオロアルキル基およびベンゼン環を有する新規シランカップリング剤で処理したフィラーを含むコンポジットレジンの引張り強さは,水中180日後においても初期強度と比較して有意に低下せず,コントロールの3-MPSと比較しても有意に高い引張り強さであった.また,5℃と55℃の水槽に各60秒間浸漬したサーマルストレスを30,000回負荷した後においても,新規シラン群では初期強度と比較して有意に低下しなかった. 2.Three-body-wear testのACTA wear machineによる摩耗試験の結果,引張り試験の結果と同様に,新規シラン群は3-MPS群と比較して有意に少ない摩耗量であった. 以上の結果より,フルオロアルキル基含有シランならびにベンゼン環を挟み加水分解性基と有機官能基が対称性に位置するシランカップリング剤で処理されたフィラーを含むコンポジットレジンは,カップリング層の耐加水分解が向上し,しかもレジンマトリックスとの相溶性が増し,フィラーとベースレジンの親和性が高められたことが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的に対する達成度は,研究分担者と協力者との密な連絡を取り,計画を進んでいることから,研究成果も出てきており,おおむね順調に進展していると評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策として,接着強さや摩耗性などの物理的な現象の評価から,シランカップリング剤の分子的構造などの化学的な分析を行い,有機・無機素材界面の耐水性を向上させる背景を追従する.
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Research Products
(7 results)