2010 Fiscal Year Annual Research Report
青色可視光励起型低濃度過酸化水素ラジカル殺菌技術を応用した次世代義歯洗浄器開発
Project/Area Number |
22592141
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅野 太郎 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (30302160)
|
Keywords | ラジカル殺菌技術 / ヒドロキシルラジカル / 義歯洗浄器 / 低濃度過酸化水素 / 温度 / 可視光LED |
Research Abstract |
われわれはこれまで、日常臨床で用いられるオキシドール(1000mM;3%)よりも低濃度の過酸化水素に、可視光領域の波長(405nm)のLEDを照射することで、効率的にヒドロキシルラジカル(HO・)を発生させ殺菌を行うという新しい義歯洗浄器を試作し検討を行ってきた.今回は、これまでの試作器よりも約10倍高い照度(110mW/cm^2)のLEDを搭載した試作器を作成し、最適且つ効果的な殺菌条件設定を行うことを目的に、過酸化水素の温度と濃度のどちらがより殺菌効果に対して依存しているのかを検討した。実験には、過酸化水素の濃度を500mMに固定し、温度を25、35、45および55℃とした群と、温度を25℃に固定し、過酸化水素濃度を500、750、1000mMとした群に、それぞれLED(405nm)を1~3分間照射した場合のHO・生成量を計測した。その結果、過酸化水素濃度500mMで55℃の条件と過酸化水素濃度1000mMで25℃の条件でほぼ同程度のHO・生成量であることが分かった。そこで、この両条件における比較殺菌試験をEnterococcus faecalis (10^8 cells/mL)とStreptococcus mutans(10^7 cells/mL)を用い行った。その結果、どちらの菌も500mM/55℃の条件では1分間で細菌数が10^3 cells/mL未満に減少したのに対して、1000mM/25℃の条件では、どちらの菌もほとんど減少が認められなかった。よって、同程度のHO・生成量であっても、熱が付与されている条件でより高い殺菌効果が得られることが分かった。これは、単にHO・の発生量が殺菌効果に絶対的に関与するのではなく、細菌に対して、HO・が作用しやすい条件を設定することにより、より効果的な殺菌ができることを示唆していると考えられる。
|
Research Products
(16 results)