2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22592163
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
大沢 聖子 日本大学, 松戸歯学部, 助手 (00152108)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 孝訓 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (50176343)
橋本 宣慶 青山学院大学, 理工学部, 助教 (00433699)
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Keywords | 歯科手技 / 熟達 / 暗黙知 / 形式知 / メタ認知的言語化 / 印象採得 |
Research Abstract |
知識には言葉や数字で表現できる知識と、目に見えにくく表現しにくい「暗黙知」がある。本研究の目的は、臨床経験豊富な歯科医師の「暗黙知」を言語化したメタ認知データを分析することから、補綴治療における義歯治療手技の暗黙知の構造と獲得過程を検討することである。平成22年度の予備調査を通して平成23年度は「下顎概形印象採得における暗黙知」に焦点を絞り検討した。 被験者は日本大学松戸歯学部付属病院の補綴系講座の歯科医師のうち、臨床経験10年以上(Expert群)、10年未満(Novice群)、本学5年次歯科学生(Beginner群)として、各18名を対象とし、質問紙による調査を行った(日本大学松戸歯学部倫理委員会承認番号:EC11-016)。質問紙には、性別、所属講座、臨床年数、利き手を問う質問のほか下顎概形印象採得をどのように行っているかを自由記述してもらった。得られたデータはWordMiner^<TM>(日本電子計算株式会社)により,テキスト・マイニングを行った。その結果、beginner群で使用されていない「イメージ」「感覚」「流れ」などの用語をExpert群では使用しており、熟達した歯科医師は、挿入から加圧、印象材の流れに至るまでの一連のメンタルモデルが完成していることが示唆された。さらに熟達した歯科医師の手技を再現し客観的に評価するため、平成23年度から研究分担者に青山学院大学・理工学部の橋本宣慶を加え、Computer Graphics(以下CG)により再現するシステムを現在作製中である。当初、位置測定は、印象採得用トレーにマーカーを取り付け、4台のカメラのうち2台で位置検出,残りの2台で作業状況の撮影を行う予定であったが、同時に4台を高解像度で撮影するとコマ落ちが頻繁に発生するため、測定精度にかかわらない作業状況撮影用カメラは低解像度の撮影とした。圧測定はトレーに力センサを取り付け,歪ゲージ用アンプで増幅し,AID変換器を通してPersonal Computerに記録するシステムまでは、ほぼ完成した。現在、ユーザーインターフェイスを改良中で、近日中に予備実験を開始する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
質問紙による歯科医師の「暗黙知」を言語化したメタ認知データを分析する作業は順調に進んでいるが、熟達した歯科医師の手技を再現し客観的に評価するため、CGを使って手技を再現するシステムを構築することにした。平成23年4月より研究分担者として青山学院大学・理工学部の橋本宣慶を加え、手技の再現システムの構築を他より1年遅れでスタートしため、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、CGを使用した歯科医師の印象採得手技を再現するシステムを作成中であるが、コードやマーカーがついたトレーを、実際の臨床に近い状態で再現してもらうためにユーザーインターフェイスを改良中である。システム完成後は、再現性を確認する予備実験を重ねた後に、本実験に入る予定である。
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