2011 Fiscal Year Annual Research Report
磁性アタッチメント用新規磁性コンポジットレジンの開発
Project/Area Number |
22592167
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
宮川 行男 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 教授 (20120735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相馬 弘子 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 助教 (90409235)
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Keywords | 磁性 / コンポジットレジン / 磁性アタッチメント / フィラー / ステンレス鋼 |
Research Abstract |
1.最適フィラー含有量およびフィラー粒度の決定 1)操作時間・硬化時間の測定:3種類の粒度に篩分けしたSUS444粉末を89,90,91,92%含有する12種類のコンポジットレジンの操作時間・硬化時間をISO4049に準拠して測定した。フィラー量が92%のときに硬化時間が長過ぎることが判明(M粒子で330±37s)したため、レジン中のBPOとDMPT量を若干調整して再実験した。その結果、硬化時間は規格値をほぼ満足するようになったが、M粒子91%配合でも操作時間が規格値よりも相当短くなった(71±9s)。92%フィラー含有は過多であったため除外し、BPOとDMPT量を減らして再々実験を行った結果、フィラー粉末粒度が細かいほど、またフィラー含有量が多いほど、操作時間及び硬化時間が長くなることが明らかとなった。なお、操作時間が90秒未満となったのは89%L粒子、硬化時間が5分を超えたのは91%M粒子及び91%S粒子の場合であった.2)曲げ試験:上記最後の条件で練和した9種類のコンポジットレジンについて、ISO4049に準拠して曲げ試験を行った。分散分析の結果、主効果および交互作用効果がいずれも有意となったが、曲げ強さが最大でも52±2MPaしかなく、咬合面を修復する材料に必要な80MPaを大きく下回った。そこで、種々の条件で曲げ試験を繰り返し行った結果、フィラーはM粒子を使用し、含有量は90%とすることが適当と判断された。 2.最適フィラー処理条件およびレジン最適組成の推定 フィラーHC1処理の有無、フィラー表面の4-META処理濃度、ベースモノマー中の4-META含有量を因子とする三元配置法の曲げ試験を行った。その結果、すべての主効果およびHCl処理と4-META処理濃度の交互作用効果が有意となった。一般に曲げ強さはHC1処理無しの場合に大きかったが、4-META処理濃度1%、4-META含有量8%のときにはHC1処理有りの場合でも97.4±5.2MPaと無しの場合(102.6±6.8MPa)と大差がなく、使用に耐えうる値が得られることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
フィラーの表面処理に使用していたスターラー付恒温槽の性能が低い上に以前より劣化し、フィラーの表面処理が十分に行えていなかったため、また、当初作製した試作磁性コンポジットレジンの曲げ強さが予想外に低く、規格値80MPaを上回る条件を見出すのに何度も試行錯誤を繰り返す必要が生じたため、さらに、原料のロットの違いによって想定外の影響が現れたため
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要で記したように、フィラーはHC1処理を行わない方が一般に大きな曲げ強さが得られた。しかしながら、HC1処理を行った場合でも行わない場合とあまり差のない条件も幸い見出すことができたため、それぞれについて今回得られた最適と思われる条件で作製した磁性コンポジットレジンの各種特性を調べ、いずれが臨床使用に適するかを明らかにするとともに、さらなる改良方法を探ることとする。
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