2010 Fiscal Year Annual Research Report
骨折治癒メカニズムを応用した歯科インプラントにおける新規骨誘導法の開発
Project/Area Number |
22592172
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
山下 秀一郎 松本歯科大学, 大学院・歯学独立研究科, 教授 (80242212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平賀 徹 松本歯科大学, 歯学部, 准教授 (70322170)
二宮 禎 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 講師 (00360222)
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Keywords | 骨折治癒 / インプラント / 骨芽細胞 / オッセオインテグレーション / 骨増生法 |
Research Abstract |
超高齢社会を迎えた我が国において、歯周疾患等に伴う歯の喪失に対する機能回復の手段として、歯科用インプラントの需要は年々増加している。にもかかわらず、インプラント体の埋入に必要な歯槽骨量の不足により適応が制限される場合も少なくない。この問題を解決するためには、歯槽骨の再生療法が必須であり、現在までに多くの基礎研究が行われ、様々な治療法が試みられている。しかし、予知性の高い方法は未だ確立されていない。 近年、幹細胞研究の進歩に伴い、幹細胞を応用した組織再生療法が実際の臨床の場でも応用されつつある。骨組織再生の分野においては、現在、最も有望視されているのが骨髄間葉幹細胞である。しかし、単一組織の再生を考えた場合、多分化能を有する幹細胞の応用はかえって非効率的であり、骨組織再生に特化した細胞の優位性が推測される。従来の研究から、「インプラント埋入時のオッセオインテグレーションの獲得が、骨折時の創傷治癒に準ずる」ことが明らかにされている。本研究では骨折治癒過程に集積する骨芽細胞に分化が決定付けられた細胞(骨折誘導性骨芽細胞前駆細胞FOPC)に着目し、FOPCを応用した新規骨増生法の可能性を探索した。 ラット骨折モデルの作成 8週齢、オス、Wistarラット大腿骨中央部に、歯科用ラウンドバーを用い、皮質骨を貫通し、骨髄のほぼ全層に渡る組織欠損を形成した。同部位を経時的に組織学的観察を行った結果、術後1日目に血腫形成、3日目に肉芽組織~線維組織形成、5~7日目にかけて新生骨の形成が認められた。本モデルは、皮質骨の連続性を失わせないため、固定等の操作なしに骨折類似の病態を再現することができ、かつ、ヒトの場合、通常1ヶ月以上要する治癒過程を1週間程度で観察できる非常に有用な動物モデルである。
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Research Products
(2 results)