Research Abstract |
顎顔面補綴治療に用いる人工物は,その大きさ故に骨再生のニーズは高く,今後は細胞を用いた安全で確実な骨再生医療が望まれている。再生医療においては再生組織をあらかじめ工業的に大量生産して,必要時にいつでも利用可能にするには,培養系を用いたin vitro組織再生が望ましい.すなわち,イヌでの細胞移植研究を通じ,そのin vivoでの機能性を解析し,喪失した顎骨組織の再生治療の基盤を確立することが本申請の目的である iPS細胞の作製ならびに評価:iPS細胞の作製:胎児で行った方法と同様の方法を用いる.すなわち,山中らのヒトiPS細胞の作製法をイヌに応用するために部分的に改変,改良を行った.pMXs-IREs-GFPレトロウイルスベクターのマルチクローニングサイトにイヌOCT3/4, SOX2, KLF4, c-MYC遺伝子をそれぞれクローニングした発現ベクターを作製する.レトロウイルスの作製のためパッケージング細胞としてPLAT-GP細胞を用い,上記それぞれの遺伝子を導入した.イヌの大網から脂肪組織を取り出し,酵素法により脂肪細胞を単離した.そして同脂肪細胞にレトロウイルスとベーシックFGFとLIFおよびバルプロ酸を加え,感染10日後に,マウス胎児線維芽細胞をフィーダー細胞として再播種した.およそ,1か月後に単離できたコロニーを回収した.脂肪細胞への遺伝子導入後,細胞がコロニー状になることが確認できた.さらに,リアルタイムRT-PCR法を行なったところ,iPS細胞に特異的なOCT3/4, SOX2, Nanog, ErasおよびRex1の遺伝子が有意に上昇することが明らかとなった.また,iPS細胞特異的なアルカリフォスファターゼ染色で陽性であった.さらに,βIII-tubulin, Flk1,およびAFPの抗体を用いて免疫蛍光染色を行なったところ陽性であったことから三胚葉細胞への分化が確認できた
|