2012 Fiscal Year Annual Research Report
歯科医療機器のレギュラトリー・サイエンスの構築に関する研究
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22592179
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
原田 直子 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (70372448)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田上 順次 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (50171567)
高橋 英和 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (90175430)
高木 裕三 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 非常勤講師 (30124697)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | レギュラトリー・サイエンス / 歯学 / 歯科医療機器 / リスク・ベネフィット / 機械材料・材料力学 / 生体材料 |
Research Abstract |
現在行政において、医療機器分野における規制・制度改革について新たな検討が行われているが、日本発の歯科医療機器の審査迅速化、世界展開のためには、レギュラトリー・サイエンス(RS)の考え方を導入し、客観的で臨床に即した適切な評価方法やリスク/ベネフィット評価の手法を確立し、定着させる必要がある。 そこで本年度は以下の点について検討を行い、成果を得た。 ①歯科医療機器の申請・審査プロセスにおける問題点、課題の抽出および解決策の提案:開発から実用化までのプロセスにおける問題点について事前アンケートを行い、その結果をもとにシンポジウムを開催し、臨学官産で意見交換を行った。討論において、最新の行政の動向も確認しながら、今後「学」としてやるべきことは何かなど、歯科産業の活性化に向けて前向きな議論を行うことができた。 ②専門家の人材育成のためのシステム作り:RSの専門家の人材育成にあたり、歯系、工学系の学生教育において、薬事法の基礎知識およびリスク/ベネフィットバランスの考え方等についての講義を計3回行った。 ③革新的歯科医療機器・歯科医療技術の実用化促進のための試験方法、ガイドライン、評価基準等の作成に関する検討:革新的歯科医療機器・歯科医療技術の早期実用化に向けて、歯科医療機器試験ガイドライン検討委員会委員として、「歯科材料の物理的・化学的評価の基本的考え方」、「歯科器械の電気的安全性評価及び物理的・化学的評価の基本的考え方」について、業界、審査側とともに、従来の試験ガイドラインを見直す検討会に参加し、平成25年3月に検討委員会の報告書が提出されるに至った。 その他、医系・工学系研究者、臨床家が会する学会において、RSに関するシンポジウム等で講演を行い、歯科の薬事申請におけるRSの考え方、重要性について意見交換および周知活動を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
歯科医療機器の審査迅速化のためのレギュラトリー・サイエンスの構築にあたり、本年度も年1回のシンポジウムを開催し、歯科医療機器産業の活性化に向けての意見交換、および「学」としての役割について提案することができた。 また、レギュラトリー・サイエンスにおける新しい試みとして、リスク/ベネフィット評価における定量評価、手法について検討し、学会発表を行った。 さらに、歯系、工学系学生に対する教育の一要素として、薬事に関する基礎知識の講義の他、リスク/ベネフィット評価についても講義に取り入れた。 その他、歯科医療機器の薬事申請の際に必要な2つの主要ガイドラインの見直しに関する検討作業への協力を行い、検討会として報告書が提出された。 また、レギュラトリー・サイエンスに関する講演も行い、歯科のみならず、医系・工学系研究者、臨床家との連携も視野に入れ、意見交換を行った。 以上より、当初計画にもとづき、本研究の目的達成に向けて、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は以下の点について検討を行うとともに、研究の取りまとめを行う。 ①歯科医療機器の申請・審査プロセスにおける問題点の整理および解決策の提案:前年度のシンポジウムにおける、歯科医療機器産業の活性化に向けての提案および議論をふまえ、日本発の製品の開発から実用化までのプロセスがよりスムーズに進むように、臨学官産で対話の機会を継続して設定し、アカデミアとして中立的立場から提案を行う。 ②薬事専門家の人材育成のためのシステム作り:医療機器の実用化、薬事審査においては、リスク/ベネフィットバランスの考え方が重要であるが、歯科、工学系の学生教育において、今までこの領域についての体系的な教育はほとんど行われておらず、学生には薬事に関する知識がまだあまり浸透していない。そこで、本年度も引き続き、レギュラトリー・サイエンスに関する教育を継続し、臨床との関連性も含めて、学生が興味をもてるよう、教育内容を充実させる。 ③革新的歯科医療機器・歯科医療技術の実用化促進のための試験方法、審査ガイドライン、評価基準等の作成に関する検討:医歯工連携のもと、承認審査で問題となっている歯科医療機器の製品群について、シミュレーションによりリスク/ベネフィットを定量的に評価する手法に関する検討を継続し、客観的な評価方法を構築する。また、高齢化社会への対応も含め、歯科医療現場のニーズを汲み取り、基礎研究から臨床評価、早期薬事承認取得、海外展開に至るまでを一貫してサポートできる体制を構築するとともに、周知方法、内容等についての検討も行う。
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Research Products
(5 results)