2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト歯髄をバイオマテリアルとして用いた骨形成の解析
Project/Area Number |
22592190
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
伊藤 勝敏 北海道医療大学, 歯学部, 助教 (50433438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 勝 北海道医療大学, 歯学部, 准教授 (00260662)
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Keywords | ヒト歯髄 / BMP / 骨形成 / fg-Hap |
Research Abstract |
研究の目的 歯の形成・維持に重要な役割をもっているヒト歯髄組織には、強力な硬組織形成因子である骨形成タンパク質(BMP)の存在が知られており、通常廃棄される抜去歯に含まれる歯髄組織は、硬組織の再生に利用できる可能性がある。また、肝細胞増殖因子(HGF)は、近年、肝細胞だけでなく様々な組織や臓器の再生機能を有することが解明されており、肝疾患や腎疾患、肺疾患などへの臨床応用が期待されている。神経栄養因子(NGF)は,脳神経の機能回復を促し,アルツハイマー病や痴呆症の治療および予防に効果があるといわれている。本研究では、ヒト歯髄に含まれるBMPおよびHGF、NGFといった組織再生因子の遺伝子およびタンパク質の発現を検討した。 実験結果 ヒト歯髄組織からtotal RNAを抽出し、逆転写酵素を用いてcDNAを作製した。作製したcDNAを用いてPCRを行った結果、ヒト歯髄組織にはBMP-2、 BMP-4、 BMP-6、 BMP-7といった様々なBMPの遺伝子が発現しており、さらにALP、 OPN、 OCN、 DSP、 DMP-1といった硬組織形成に関与する因子の遺伝子発現も認められた。さらに硬組織形成に関与するタンパク質だけでなく、HGFやNGFといった組織再生因子の遺伝子の発現も認められた。ヒト歯髄組織からは、様々な遺伝子が発現していることが判明したため、ウェスタンブロッティング法を用いてタンパク質の検出を試みたところ、BMP-2、 BMP-7、 HGF、 NGFといったタンパク質が検出された。さらにBMP-2のタンパク質認識配列部(CDS)をtagベクターへ組み込み、COS7細胞にトランスフェクションを行って融合タンパク質を発現させたところ、BMP-2は歯髄組織内では主に前駆体の状態で存在する事が判明した。前駆体で大量に存在すると思われるBMP-2を、意図的にプロセッシング可能にできれば、これまで遺棄されていた抜去歯の歯髄を用いて硬組織再生を行うことが可能になると思われる。
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