2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規化学修飾法によるチタン表面での靭帯様組織の形成と上皮シールの確立
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22592191
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
古市 保志 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (80305143)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 一彦 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (70168821)
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Keywords | チタン / ジルコニア / ヒト歯根膜由来細胞 / ヒト歯肉上皮細胞 |
Research Abstract |
我々は、チタン表面のインテリジェント化によって、インプラント体上部では周囲軟組織との密なシール、下部では歯根膜様の靭帯組織を獲得させ、インプラント体の高機能化を目指している。本年度は、以下の2つの成果を上げた。1.IGF-1を固定化していないジルコニア表面に比較して、IGF-1を固定化したジルコニア表面では、ヒト歯肉上皮細胞の化学的剥離力に対する抵抗力(接着力)が増加することが明らかとなった。また、IGF-1を固定化していないジルコニア表面に比較して、IGF-1を固定化したジルコニア表面では、ヒト歯肉上皮細胞のIntegrin-β4およびLaminin-5のm-RNA発現が上昇していることが明らかとなった。以上の結果より、IGF-1をジルコニア表面に固定化することで、ヒト歯肉上皮細胞の接着因子であるIntegrin-β4およびLaminin-5の発現が上昇し、これによりジルコニア表面に対するヒト歯肉上皮細胞の接着力が増加することが示唆された。2.ラットの大腿骨に直径2mmのチタンディスクを埋入し、その後研磨標本を作製することが可能となった。当初、実験計画ではウサギの顎骨に対して、ウサギの歯から採取した細胞を付着させたチタンディスクを埋入し、各実験を行う予定であった。しかしながら、このラットによる手法を確立したことによって、T細胞機能欠如ラットを用いて、ヒト由来の細胞を用いた実験を行うことが可能となった。ヒト由来の細胞を用いることが可能になったことによって、In vitroの実験で用いた細胞をそのままIn vivoで応用できるようになり、In vivoで起きた現象の説明をIn vitroの結果から考察することが可能となり、またヒトに近いモデルが確立できると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在、In vitroの研究を進めているが、歯根膜細胞群のセメント芽細胞への分化が当初予想していた通り難しく、試行錯誤しているため、研究がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画では、コラーゲンが固定化されたチタン表面にエナメルマトリクスタンパクを吸着させる手法を考えていたが、エナメルマトリクスタンパク質の吸着の量が少ない故、歯根膜細胞群のセメント芽細胞への分化が進まないことが考えられる。そこで、コラーゲンが固定化されたチタン表面にエナメルマトリクスタンパク質を吸着ではなく固定化し、ヒト歯根膜由来細胞群に作用させた場合の細胞の動態および分化を解析する。また、研究計画では、当初ウサギを使う予定だったが、T細胞機能欠如ラットを用いる手法を確立することができたので、用いる動物をウサギからラットへ変更する。
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Research Products
(3 results)