2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22592193
|
Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
服部 雅之 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (10307390)
|
Keywords | チタン合金 / 歯科用合金 / 硬質レジン前装鋳造冠 / 接着強さ |
Research Abstract |
本研究は、かねてより開発してきたクロム含有高耐食チタン合金を多用途歯科用合金として、歯科臨床への応用を検討するものである。現在までに、チタンクロム合金の歯科応用に関する基礎的検討を重ね、チタンに15mass%もしくは20mass%のクロムを添加することで、歯科鋳造用合金として適度な機械的性質を有し、フッ化物や過酸化物に対して高耐食性を有することを明らかにしてきた。本年度は、レジン前装冠(審美性を考慮し金属の表面に白色の樹脂を接着させた被せもの)への応用の可能性を探索する目的で、試作チタン合金と硬質レジンの接着強さを測定し、既存の歯科用合金と比較検討した。各金属材料と硬質レジンのせん断接着強さは、24時間水中浸漬後の試料では、17~31MPaの接着強さを示した。試作合金である15mass%および20mass%クロム含有チタン合金はともに30MPa前後の値を示し、純チタン、Ti-6Al-7Nb合金およびコバルトクロム合金とほぼ同等の値を示した。金銀パラジウム合金は、他の金属と比較し有意に低い値を示した。サーマルサイクル後の試料では、19~26MPaの接着強さを示した。15mass%クロム含有チタン合金は約26MPaと最も高い値を示した。20mass%クロム含有チタン合金は約24MPaであり、純チタン,Ti-6Al-7Nb合金およびコバルトクロム合金とほぼ同等の値を示した。金銀パラジウム合金は、24時間水中浸漬後の試料同様、約19MPaと低い値を示した。サーマルサイクル後の試料では、すべての金属材料間に有意差は認められなかった。以上より、チタンクロム合金と硬質レジンの接着強さは既存の歯科用合金と同程度であることから、チタンクロム合金は、硬質レジン前装冠のメタルフレームとしての応用の可能性が示唆された。
|