2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22592194
|
Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
見明 康雄 東京歯科大学, 歯学部, 准教授 (00157421)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | ヒドロキシアパタイト / 合成結晶 |
Research Abstract |
アパタイト合成装置はこれまでと同様であるが、今年度は合成手順の変更を行った。これは、昨年より結晶性の悪いアパタイトとしてCa欠損型アパタイトを初期に合成するためである。イオン溶液としてリン酸アンモニウム溶液を加温し、炭酸アンモニウムでpHを調整して、これに炭酸カルシウムを滴下した。合成条件は、80±1℃で、pHは8.0±0.1とした。合成された結晶を、幕を張ったグリッド上に撒布して経時的に透過電子顕微鏡で観察すると、初めは顆粒状の結晶が観察されたが、合成120分後位から棒状のものがみられるようになった。また、合成後半に結晶性を高めるため、溶液中にHF を0.1Mの割合で添加した。このリン酸アンモニウム溶液に炭酸カルシウムを滴下する方法だと合成時間中のpHの変動がかなり少なく、以前の方法より安定していた。合成された結晶は、結晶同士が塊となって毬栗のような外形をしており、合成初期の結晶成長点から放射状に成長した結晶が多いことが示された。合成の終了した結晶中央にナノスペースの孔を空けるため、pH4.5の0.1M乳酸を50ºCに加温し2~3日間浸漬した。浸漬後の撒布試料を透過電子顕微鏡で観察すると、中央に孔の空いた棒状のアパタイトが多数観察された。この試料を樹脂に包埋して超薄切片を作成し、高分解能電子顕微鏡で観察すると、c軸断面が概ね正六角形の結晶が多くみられ、結晶中央には尖孔像が観察された。尖孔部の格子像は一様ではなく、部分的に電子線の透過性が異なっていたり格子欠損が観察されたので、結晶内部の結晶性が不均一である可能性が示唆された。今年度はこれまでより、かなり均一でチューブ状の単結晶アパタイトを作製することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
単結晶アパタイトの内部に孔を空けてチューブ状にすることは出来る様になったが、HFの添加により一部に結晶サイズの小さいものが形成され、この結晶は中央尖孔を起こしにくいことが示された。また、チューブ状結晶の作製に時間がかかったので、生体への応用実験の時期が予定より遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
チューブ状の単結晶アパタイト合成方法をさらに検討し、均一な構造をしたものを作成できるようにする。また、連携研究者にも試料を提供し、この結晶の歯科材料としての利用方法や骨補填材など直接生体への応用実験を行う。
|