2011 Fiscal Year Annual Research Report
骨梁構造における荷重伝達を考慮したインプラント偶発症抑止シミュレーション
Project/Area Number |
22592195
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
井出 吉信 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (20103377)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松永 智 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (70453751)
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Keywords | インプラント / マイクロCT / 有限要素解析 / 偶発症 / 顎骨内部構造 / 骨梁 / 荷重伝達経路 / 主応力ベクトル |
Research Abstract |
本年度は、前年に取得した歯科インプラント埋入部位における骨のデータベースに、さらに下顎骨のデータを追加した。下顎管を抽出し、骨梁構造を考慮した応力解析を行うことで、設定した埋入危険領域の妥当性を評価した。皮質骨の厚径と骨梁の構造特性のパラメータはインプラント周囲の荷重伝達経路を評価する上で双方ともに重要な因子であるが、今回の解析から、皮質骨厚径が十分な顎骨の偶発症発生リスクは低く、皮質骨厚径が薄い顎骨では骨梁の構造が偶発症発生リスクに大きな影響を与えることが明らかとなった。さらに顎骨モデルに与える力学的物性値について検討を加えた。その結果、海綿骨の構造特性を考慮したせん断係数を与えた力学解析に比べ、従来の線形複合則をもとに算出したせん断係数を与えた解析は50%もの解析誤差が生じることとなり、特にインプラント周囲顎骨における力学解析にはせん断係数を考慮する必要があることが明らかとなった。 さらに臨床応用を視野に入れた解析を進めており、偶発症を想定した力学解析を行い、発生する反力の計算をはじめている。皮質骨、海綿骨をドリリングする単純な反力のみならず、埋入方向の不正により発生する下顎管損傷や顎下腺窩に対する皮質骨の打ち抜きなどを想定した解析を現在急ピッチで行っている。これにより、実際の埋入シミュレータに術者感覚をフィードバックするシステム構築が可能となり、生体力学的な視点からの学習を可能にするインプラント埋入シミュレーションがさらに発展すると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
歯科インプラント埋入部位に関する基礎データに関して、学術論文の報告を複数行うことができた。また、本研究に付随して得られた解析結果について、すでにいくつかの論文投稿を行っている。インプラント埋入シミュレーションの反力データ採取については、力学解析による計算は順調であり、今後例数を増やしていく計画である。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の研究業績の概要で述べたように、今後は臨床応用を視野に入れてインプラント埋入シミュレータにこれまで得られたデータベースをリンクし、偶発症発生時の感覚をシミュレーション上において体感できるようなシステム構築を進めていく。研究はおおむね順調に進展しているため、大きな計画変更は現在予定されていない。
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Research Products
(2 results)