Research Abstract |
本研究の目的は,再生医療にとって不可欠な血管新生を誘導・制御するために,とくに,骨再生過程における血管新生に着目し,骨再生の可能性およびそのメカニズムを解析することを目的とした。本年度は,内側性の骨欠損形態に対する骨再生時における血管新生の動態を詳細に観察することを企画した。7週齢の雄性ラットに全身麻酔を行い,局所麻酔下にて頭部皮下に切開を加えて皮膚骨膜弁を作製し,ラットの頭頂骨の矢状縫合を避け,右側に直径2.7mmの非臨界骨欠損を,左側に直径5.0mmの臨界骨欠損をトレファインバーを使用して作製した。骨膜および皮膚を縫合してin vivoマイクロCT(R_mCT,理学メカトロニクス,東京)を用いて,術直後を0週とし,4週まで毎週,血管造影(造影剤:イオパミロン)を行い,再生骨の動態および血管新生の過程を評価した。評価方法は,画像再構成ソフト(i-view,モリタ)を用い,三次元画像を作製し,骨再生と血管新生の動態およびその再生量を放射線学的に詳細に検討した。その結果,臨界骨欠損,非臨界骨欠損ともに血管新生が骨再生に先行し,起こっていくことが確認された。また,非臨界骨欠損では臨界骨欠損に比較して血管新生量が有意に増加していた。骨再生に関しては,臨界骨欠損では骨欠損部の閉鎖がほとんど認められなかったが,非臨界骨欠損では骨欠損部はほとんど閉鎖していた。以上の結果から,骨再生には,血管新生が重要であり,再生過程を制御している可能性が示唆された。
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