2010 Fiscal Year Annual Research Report
顎関節滑膜細胞における関節破壊に対するメカノトランスダクション機構の解明
Project/Area Number |
22592204
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
高野 裕史 秋田大学, 医学部, 助教 (30282172)
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Keywords | メカニカルストレス / 顎関節 / 培養滑膜細胞 / 破骨細胞 / 関節破壊 / メカノトランスダクション |
Research Abstract |
顎関節滑膜細胞の採取、単離とメカニカルストレスを加えた培養 (1)滑膜細胞の採取と培養 顎関節鏡視下手術、顎関節開放手術に際し得られた滑膜組織より滑膜細胞を単離、培養した。採取した顎関節滑膜組織を培養。Outgrouthしてきた細胞を5継代培養。培養滑膜細胞として実験に使用。 (2)メカニカルストレスの負荷方法 メカニカルストレス(機械的圧縮刺激)を培養滑膜細胞に加え、負荷方法を検討した。 細胞への圧縮刺激は、当教室で作製した圧縮培養システムを用いて行う。このシステムは、培養皿上で培養した細胞にガラスシャーレを置いて圧縮刺激を加えるが、ガラスシャーレの重量により圧縮強度のコントロールが可能である。今回は、圧縮刺激を4g、8g、16gに設定し、刺激時間を24h、48h、72h、96hで検討した。 (3)圧縮刺激を加えた培養滑膜細胞の破骨細胞誘導支持能と破骨細胞誘導メカニズムの解析 健常人末梢血単球と培養滑膜細胞の共培養(rhM-CSF、1,25-(OH)2D3添加)の際、上記の圧縮刺激を加え、破骨細胞誘導を試み、形成されたTRAP陽性多核巨細胞数を評価した。また、培養滑膜細胞に圧縮刺激を加えた際のRANKLの発現についてRT-PCR法を用い、評価した。その結果、培養滑膜細胞と健常人末梢血単球との共培養による破骨細胞誘導系では、圧縮刺激を加えることによってTRAP陽性の多核巨細胞形成数が有意に増加し、また、RANKL遺伝子発現は増強した。これらの結果から培養滑膜細胞は、圧縮刺激によりRANKLの発現を増強させることにより破骨細胞の形成を促進させることが明らかとなった。 尚、本実験結果は、第23回日本顎関節学会総会・学術大会、第55回日本口腔外科学会総会・学術大会(優秀ポスター賞受賞)にて成果を発表した。
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