2011 Fiscal Year Annual Research Report
顎関節滑膜細胞における関節破壊に対するメカノトランスダクション機構の解明
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22592204
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
高野 裕史 秋田大学, 医学部, 助教 (30282172)
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Keywords | メカニカルストレス / 顎関節 / 培養滑膜細胞 / 破骨細胞 / 関節破壊 / メカノトランスダクション |
Research Abstract |
顎関節滑膜細胞の採取、単離とメカニカルストレスの及ぼす影響 (1)滑膜細胞の採取と培養 顎関節鏡視下手術、顎関節開放手術に際し得られた滑膜組織より滑膜細胞を単離、培養した。 採取した顎関節滑膜組織を培養。Outgrouthしてきた細胞を5継代培養。培養滑膜細胞として実験に使用。 (2)メカニカルストレスの負荷方法 メカニカルストレス(機械的圧縮刺激)を培養滑膜細胞に加え、負荷方法を検討した。 細胞への圧縮刺激は、当教室で作製した圧縮培養システムを用いて行う。このシステムは、培養皿上で培養した細胞にガラスシャーレを置いて圧縮刺激を加えるが、ガラスシャーレの重量により圧縮強度のコントロールが可能である。今回は、圧縮刺激を4g、8g、16gに設定し、刺激時間を24h、48h、72h、96hで検討した。 (3)圧縮刺激を加えた培養滑膜細胞の砿骨細胞騰導支持能と確骨細胞語導メカニズムの解析 健常人末梢血単球と培養滑膜細胞の共培養(rhM-CSF、1,25-(OH)2D3添加)の際、上記の圧縮刺激を加え、破骨細胞誘導を試み、形成されたTRAP陽性多核巨細胞数を評価した。また、培養滑膜細胞に圧縮刺激を加えた際のRANKLの発現についてRT-PCR法を用い、評価した。その結果、培養滑膜細胞と健常人末梢血単球との共培養による破骨細胞誘導系では、圧縮刺激を加えることによってTRAP陽性の多核巨細胞形成数が有意に増加し、また、RAML遺伝子発現は増強した。これらの結果から培養滑膜細胞は、圧縮刺激によりRABKLの発現を増強させることにより破骨細胞の形成を促進させることが明らかとなった。 (4)PGE_2産生に対するメカニカルストレスの影響 メカニカルストレスの変化で促進されるPGE_2産生のメカニズムを明らかにするために、PGE_2産生能評価した。顎関節培養滑膜細胞に上記メカニカルストレスを加え培養し、培養上清中のPGE2濃度をELISA法により測定した結果、メカニカルストレスを加えないcontrolに比べ、24,48,96hの16g圧縮刺激にてPGE2産生は増加した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2011.3.11の東日本大震災時の停電にて培養に用いていたインキュベーターが機能せず、培養中細胞はすべて使用できなくなった。また、凍結保存していた細胞も温度上昇により、変化が生じたと思われ、その後の培養にて増殖能が著しく低下し、実験に使用できなくなったため。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のごとく、樹立し、実験に用いていた培養滑膜細胞が震災の影響により使用できない状態にあり、今後の実験は困難を極めるが、他のストックしてある細胞で同様の実験可能かを見極める。また、新たな細胞株を樹立し、可能な限り、実験を進める予定である。さらに、滑膜細胞の試料採取のため、顎関節滑液細胞中の細胞や滑液も実験材料に加え、関節破壊に対するメカノトランスダクション機構の解明を遂行する。 外傷による顎関節関節突起骨折でも顎関節部に強いメカニカルストレスが加わるため、その際の試料からも関節破壊、リモデリングとの関連を検討する。
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