2012 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌治療における口腔内細菌叢の解析と周術期管理への応用
Project/Area Number |
22592221
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大部 一成 九州大学, 大学病院, 講師 (80243955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川野 真太郎 九州大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (00398067)
竹下 徹 九州大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (50546471)
中村 誠司 九州大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (60189040)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 口腔癌 / 唾液 / 口腔細菌叢 / 放射線治療 / 臨床歯学 |
Research Abstract |
本年度は口腔癌患者12名より、周術期4点(治療開始前(A期)、放射線化学療法治療中(B期)、手術直前(C期)、術後経口摂取開始後(D期))に採取した唾液検体について定量PCR法を用いた総細菌数の変動について検討を行った。周術期4点のうち、治療開始前(A期)の細菌数は10を底とした対数値で7.7±0.3と最も高く、特に放射線・化学療法治療中(B期)の6.8±1.2と術後経口摂取開始後(D期)の7.2±0.6との間には有意な傾向(p<0.1)が認められた。一方で口腔内総細菌数の大小は腫瘍の部位(歯肉癌、舌癌、口底部癌)および放射線・化学療法後の粘膜炎症の重篤度との間に関連は認められなかった。加えて前年度行ったT-RFLP法を用いた細菌叢の変化について解析ソフトウェアTRFMAWを用いて系統学的な分析を行ったところ、多くの被験者で大きな変動が認められたA期からB期にかけて特に分子量64900及び73500に相当するピークの面積比率の増加が認められていることが明らかとなり、放射線・化学療法によってNeisseria属、Rothiaの構成比率の増加がおこっている可能性が示唆された。 現在までの達成度としてはやや遅れているが、25年度は検体保存について細心の注意を払いながらさらなる収集を行うとともに、細菌構成の変動について従来行ってきたT-RFLP解析に加え近年開発された16S rRNA遺伝子バーコードパイロシーケンス法を用いて詳細な解析を行っていく。 本手法で得られた解析結果については研究分担者がこれまでに開発したR,PHPによる解析環境とオープンソースソフトウェアを利用した解析系を用いる。これについてはさらなる改良と高速化も行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
24年度は前年度に行った細菌構成についての検討に加えて細菌量についての分析を行い、口腔癌治療に伴う変動について明らかにすることができ、また研究分担者が開発した解析ソフトウェアを用いることで構成変化の系統学的情報を明らかにすることができた。さらに臨床症状に関するデータについてデータベース化を行った。 一方で採取した検体の保存に関するトラブルがあったことから解析検体数を大きく増やすことができなかったことから達成度は「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
(今後の推進方策) 25年度は検体保存について細心の注意を払いながらさらなる収集を行うとともに、細菌構成の変動について従来行ってきたT-RFLP解析に加え近年開発された16S rRNA遺伝子バーコードパイロシーケンス法を用いて詳細な解析を行っていく。本手法で得られた解析結果については研究分担者がこれまでに開発したR,PHPによる解析環境とオープンソースソフトウェアを利用した解析系を用いる。これについてはさらなる改良と高速化も行っていく。 年度の後半からはデータの解析と結果の考察を行い、学会発表を行うとともに論文発表を行う予定である。 (25年度の研究費の使用計画) 次年度の研究費については主に次世代シーケンサーION Personal Genome Machineを用いた解析における半導体チップ、試薬等の消耗品への利用を予定している。加えて新たに採取した検体についてはT-RFLP解析、定量PCR法も利用することからそれらの試薬にも使用する。
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