2011 Fiscal Year Annual Research Report
関節滑膜細胞におよぼす伸展ストレスの影響;酸化ストレスと遺伝子発現の誘導
Project/Area Number |
22592227
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
川上 哲司 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (60254512)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 康春 琉球大学, 医学部, 教授 (20124878)
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Keywords | 滑膜細胞 / 顎関節 / 酸化ストレス / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
本研究は、培養条件下で滑膜細胞に伸展負荷をかけることを可能にするシステムを用いることで、メカニカルストレスに対する細胞の応答を、分子レベルで解明しようとする点に特色があり、本研究を発展させることで、新たな治療戦略の構築を促進することが期待される。 伸展ストレスによる関節滑膜細胞の炎症関連遺伝子の発現誘導にいたる全過程を解明するために、変異ポリADPリボース合成酵素-1(PARP-1)の強制発現もしくはノックダウンによるNFκB活性化への影響を調べることで、ポリADPリボース(PAR)合成とNFκB活性化経路の関連性を明らかにした。PARP-1ノックダウンの伸展ストレス依存性NFκB活性化におよぼす効果について、ウサギ滑膜線維芽細胞に対する伸展ストレスは、NFκB依存的COX-2およびiNOS発現誘導とともに、著明なPAR合成を亢進することを見いだした。他細胞を用いた実験系から、PARP-1はNFκBのコアクチベーターであるとする説が提唱されている。PARP-1siRNAによるPARP-1消失が、NFκB活性化におよぼす効果を検討することで、NFκB活性化経路とPARP-1間のクロストークの有無を明らかにした。また、PARP.1消失により、伸展ストレス依存性NFκBの活性化が抑制された場合、PARP-1各ドメインを欠損させた変異PARP-1を過剰発現させ、どのドメインがNFκBの活性化に必要なのかを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
変異ポリADPリボース合成酵素-1(PARP-1)の強制発現もしくはノックダウンによるNFκB活性化への影響を調べることで、ポリADPリボース(PAR)合成とNFκB活性化経路の関連性を明らかにする。
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Strategy for Future Research Activity |
PAR合成およびNFκBの活性化の関連性の解明に引き続き、伸展ストレスとPAR合成およびNFκBの活性化を連関させる機構について明らかにする。ラジカル化合物(Reactive oxygen species;ROSおよびReactive nitrogen species;RNS))の関与に着目しており、伸展ストレスにともなうROS/RNSの発生機構および、ラジカル化合物のPAR合成、NFKBの活性化以外への作用についても明らかにしたい。
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