2011 Fiscal Year Annual Research Report
顎関節症の病因病態形成への細菌の関与:患者の滑液と滑膜における遺伝子解析
Project/Area Number |
22592236
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
瀬上 夏樹 金沢医科大学, 医学部, 教授 (40148721)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金山 景錫 金沢医科大学, 医学部, 講師 (50329380)
本庄 美穂 金沢医科大学, 医学部, 助教 (70424900)
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Keywords | 顎関節症 / 細菌感染 / 滑液 / 遺伝子解析 |
Research Abstract |
約100例の顎関節症患者(顎関節内障および変形性顎関節症)からの採取試料(滑液および滑膜組織)を対象とした幅広い生化学的研究(滑液微量解析および免疫組織化学的解析:蛋白、炎症性サイトカイン、発痛物質、造骨破骨物質)を遂行した。まず臨床的検討として、顎関節症患者の上関節腔滑液の生化学的分析により、患者群の平均総蛋白量が有為に高値を示し、電気泳動解析により22種の分子量の異なる糖鎖バンド(14~700kd)が検出された結果ならびに、substance-P、Interleukin-8が顎関節内障患者の滑膜組織における免疫組織化学的検討により高頻度で陽性を呈することを報告した。これらの研究成果による大まかな結論は、関節内の炎症性変化は組織学的には軽度である反面、免疫機構は高度にアクチベイトされて病態および症状重症度に反映されていた。一方、顎関節症における滑液中細菌DNAに関する報告では、ChlamydiaおよびMycoplasmaの同定が渉猟されるが、これらは一部の細菌のみを標的とした検討にとどまり不充分である。そこで、当教室で施行してきたPCR法による細菌DNA研究について、新たに5症例を追加して詳細に検討中である、顎関節症患者(顎関節内障害および変形性顎関節症;計30例)の上関節腔穿刺により無菌的に採取した希釈滑液のうち、19関節(67.9%)において11種の細菌を検出し、とくに100%の変形性顎関節症患者で細菌が検出され、45歳以上の高齢者に多く同定される傾向を示した。さらに以上に加えて、滑膜組織におけるPCR法による細菌検索を現在施行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1、患者からのサンプル採取の減少、2、試薬の購入調達の遅れ、3、研究施設使用障害による。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の本研究における推進課題について以下の対策を設けた。 1、外来診療において、患者の初診数は変わりなく10例/月間程度受診しているが、診断、治療、研究承諾など一連のプロトコールにおいて、脱落例や漏れが多く、研究対象数の確保が遅滞している。このため研究チーム内での意思統一を図りサンプリングを確実なものとする。 2、遅滞することなく、円滑な試薬調達を進める。 3、基礎講座で管理される研究機器の使用状況を改善し、無駄のない円滑な作業推進を図る。
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