2010 Fiscal Year Annual Research Report
Notchシグナルを標的とした新規口腔扁平上皮癌治療に関する研究
Project/Area Number |
22592241
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
比地岡 浩志 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 助教 (70305150)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬戸口 啓夫 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (40423727)
宮脇 昭彦 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 助教 (40200216)
石田 喬之 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 医員 (20404501)
小宮 節郎 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 教授 (30178371)
中村 典史 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 教授 (60217875)
|
Keywords | 口腔扁平上皮癌 / Notchシグナル / 低酸素 / EMT |
Research Abstract |
本研究は口腔扁平上皮癌(以下、OSCC)におけるNotchシグナルの役割とその機序を解明し、新規分子標的治療の可能性を探るものである。われわれはすでにOSCC細胞株および患者検体を用いた実験でNotchシグナルが発現・活性化していることを確認し、Notchシグナル阻害剤であるγ-secretase inhibitor(以下、GSI)によってNotchシグナルを阻害したところ、ターゲット遺伝子であるHesl mRNAが有意に減少しOSCCの増殖が抑制されることを見出した(Hijioka H., et al. Upregulation of Notch pathway molecules in oral squamous cell carcinoma.Int J Oncol 36:817-822 2010)。 引き続き現在は癌の微小環境とNotchの関係に着目し、低酸素環境におけるNotchの発現とその意義を解明すべく研究をすすめており、これまでに以下のことを明らかにしている。 1)低酸素下(1%O_2)では正常酸素下(20%O_2)に比べ、OSCC細胞株のNotchシグナル関連分子が強発現を認めた 2)低酸素下ではOSCC細胞株の遊走能が亢進した 3)GSIを添加しNotchシグナルを阻害したところ、E-カドヘリンの発現が増加し遊走能が低下した 以上より、癌の低酸素環境においてNotchシグナルが活性化し、それによってE-カドヘリンの発現が抑制され、細胞の遊走能を亢進していることが示された。これらの結果はNotchシグナルがEMT(上皮間葉移行)に重要な役割を担っていることを示しており、NotchシグナルがOSCCに対する治療標的になりうることをさらに裏付けるものであると思われる。今後さらに実験を重ね、口腔癌の治療向上に貢献したいと考えている。
|