2011 Fiscal Year Annual Research Report
Notchシグナルを標的とした新規口腔扁平上皮癌治療に関する研究
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22592241
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
比地岡 浩志 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (70305150)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬戸口 啓夫 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (40423727)
宮脇 昭彦 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (40200216)
石田 喬之 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 医員 (20404501)
小宮 節郎 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (30178371)
中村 典史 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (60217875)
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Keywords | Notchシグナル / 上皮間葉移行(EMT) / 低酸素環境(Hypoxia) |
Research Abstract |
これまでにわれわれは口腔扁平上皮癌(OSCC)において、Notchシグナルが高発現しoncogenicな役割を果たしていることを報告してきた。近年、癌の浸潤・転移における重要なステップとして上皮間葉移行(EMT)が注目されているが、今年度われわれは低酸素環境によるNotchシグナルの活性化がEMTに関与していることを見出した。【材料と方法】ヒトOSCC細胞株HSC-2、HSC-4およびCa9-22をそれぞれ正常酸素環境下(20%O_2:Normaxia)および低酸素環境下(1%O_2:Hypoxia)で培養した後、細胞形態の変化およびwound healing assayにて遊走能を検討した。さらにこれらにNotchシグナル阻害剤(γ-secretase inhibitor : GSI)を添加し遊走能への影響ならびに免疫組織化学にてE-cadherinの発現を評価した。またNotch関連遺伝子(Notch1、2、3、4、Jagged1、2、D114、Hes1、Hey1)および転写因子Snai1の発現をrealtime RT-PCRで解析した。【結果】HypoxiaではNormaxiaに比べ、OSCC細胞株は多角形から紡錘形に変化し、遊走能は亢進した,GSIを添加しNotchシグナルを阻害したところ、E-cadherinの発現が増強し遊走能が低下した。またHypoxiaではNotchシグナル関連分子およびSnai1が高発現していた。【結論】OSCCの低酸素環境によってNotchシグナルが活性化し、snai1の高発現、E-cadherinの発現抑制によるEMTを誘導し、細胞の遊走能を亢進していることが示唆された。以上の結果から、NotchシグナルはOSCCの増殖のみならず、浸潤転移にも影響を与えている可能性があり、今後さらなる検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
口腔扁平上皮癌におけるNotchシグナルの関与が、研究計画当初予想していた癌の増殖だけではなく、浸潤・転移にも影響を与えていることを見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
推進方策:これまで口腔癌細胞株を用いたin vitroの実験系で研究を進めてきたが、今後はヌードマウスの移植実験を主体としたin vivoの実験系を早急に確立する予定である。 計画の変更点:これまではNotchシグナル分子をターゲットに実験を進めてきたが、他のシグナル分子との相互作用がOSCCの浸潤・転移に重要な役割を果たしていることが明らかになってきた。今後は他のシグナル分子にも着目し、本研究を推進したいと考えている。
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