2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22592250
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
横江 秀隆 防衛医科大学校, 病院, 准教授 (70261930)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 泰則 防衛医科大学校, 病院, 教授 (10095375)
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Keywords | 細胞接着因子 / 癌転移抑制法 / 癌浸潤抑制法 / KCNJ / β-catenin |
Research Abstract |
本研究の目的は、細胞接着因子を発現増強することにより、癌細胞間の接着能を高め、癌細胞の転移や浸潤を抑制することである。本年度は、細胞接着因子群の中でもβcateninに着目して、その発現量を増強させる遺伝子と薬物を検索した。B cateninの発現を直接コントロールする薬剤を見出すことが出来なかったので、遺伝子ネットワーク上でβcateninの1つ上流にあるCASK遺伝子に作用する薬剤を検索したが見出すことが出来なかった。次に、さらに上流にあるLin7C遺伝子に注目したが、やはり、作用薬は見つからなかった。そこで、KCNJ2-Lin7C-CASK-βcateninネットワークに注目した。KCNJ2遺伝子はLin7C遺伝子の発現を抑制する遺伝子であり、まず、KCNJ2遺伝子発現を抑制すると下流にあるβcateninの発現が増強することを検証した。すなわち、siRNAの導入によりKCNJ2遺伝子の発現を抑制して、βcatenin遺伝子の発現が増強することをReal-time PCR法とWestern blotting法によりmRNAレベルとタンパクレベルで確認した。また、Wound Healing Test,Invasion assayを行い、転移能および浸潤能の抑制作用を確認した。さらに、KCNJ2遺伝子に作用する薬剤としてamiodaroneをデータベース上で同定した。Amiodaroneは商品名をアンカロンといい、心筋細胞膜のkチャンネルを抑制することにより活動電位持続時間、不応期を延長して拡張型心筋症の心房細動や心室性頻脈の治療薬として、既に臨床応用されている薬物である。50mM,5mM,500mmicroMとAmiodoroneの濃度を変え、SAS-H1細胞株に作用させたところ、Lin7Cとβcateninの発現変化を調べたところ、両遺伝子の亜h津元増加が起きることを見出した。特に、50mMのAmiodaroneでは約1.6倍の発現増強が得られた。今後、さらに他の遺伝子と薬物を検索し、効率のより良い治療薬を同定する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HTR2C(5HT2C)に作用する薬物として、すでに臨床で他の疾患の治療薬として用いられている薬物が同定できたため、Lin7C-CASK-βcateninネットワークを制御する可能性のある候補遺伝子としてHTR2C(5HT2C)にフォーカスを絞り研究を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
口腔癌由来細胞において、各薬剤を作用させて、Ln7C遺伝子、CASK遺伝子、β-catenin遺伝子(CTNNB1)の発現状態を誘導能力をreal time PCR法で評価する。同様に最終産物であるβ-cateninタンパク発現状態をWestern blotting法で確認する。以上により、Lin7C-CASK-βcateninネットワークの制御能力を薬剤ごとに評価し、最も効率的に制御できる薬剤を同定し、候補薬剤添加培養下にin vitroでWound Healing Test、Invasion assayを行い、浸潤能に関する抑制作用を評価する。
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