2011 Fiscal Year Annual Research Report
耳介軟骨細胞を利用した再生軟骨による顎関節再建に向けた戦略的研究
Project/Area Number |
22592252
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
飯野 光喜 山形大学, 医学部, 教授 (50212717)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 良之 東京大学, 附属病院, 准教授 (70251296)
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Keywords | 顎骨再建 / 軟骨再生 / DGキナーゼ / ATDC5細胞 |
Research Abstract |
近年顎骨再生医療(再建治療)は長足の進歩を遂げ、以前は困難とされていた下顎においてかなり大きな骨欠損でも本来の形態に近似した骨を再建することが可能となっている。しかし、関節軟骨を再生する手法が確立されていないため、顎関節を含む下顎頭欠損例の再建治療は極めて困難である。そこで本研究では、耳介軟骨を用いて軟骨としての性質を保ちながら効率良く細胞を増殖しうる細胞培養法と、脱分化により部分的に失われた軟骨形質を回復する再分化誘導法を開発し、近い将来における顎関節領域での臨床応用を目指した再生軟骨の作成と軟骨生物学に関する基礎的研究を推進することを目的とする。 本年度は、軟骨細胞の増殖および分化を制御すると考えられる細胞内情報伝達機構に着目して、脂質性二次メッセンジャー代謝酵素ジアシルグリセロールキナーゼ(DGK)アイソザイムの、軟骨分化過程におけるmRNA発現解析を行った。軟骨芽細胞のモデル細胞株と考えられるATDC5細胞をインスリン添加培地で28目間培養し、DGKアイソザイムの発現をRT-PCRで検討した。インスリン添加培地におけるATDC5細胞では、培養7日目頃からアルシアンブルー染色によって軟骨基質が検出されるようになった。また、分化の進行に従って軟骨分化マーカーtype II collagen, aggrecanの増加が認められた。このとき、ATDC5細胞において最も強い発現が認められるDGKζのmRNA発現は、経時的に減少することが明らかとなった。今後、軟骨細胞への分化誘導におけるDGKζタンパクの発現変化および、DGKζのsiRNAを用いたノックダウンによる増殖・分化への影響を精査する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画より若干の修正はあったが、その後順調に進展し、その成果を二度に渡って国内学会にて報告した。今後さらに本研究を発展させ、最終的には国際学術誌に投稿・発表する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究のために必要な設備、備品はほぼ確立されており、これまで山形大学と東京大学の各研究者間で密な情報交換体制が保たれている。また、当初の研究計画には記載されていないが、研究の進展度合いにより、ノックアウトマウスを使用した実験も視野に入れて準備を整えながら本研究を進めて行く予定である。
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Research Products
(2 results)