2010 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者歯科治療時の異常高血圧を予測する無侵襲モニターの開発に関する研究(V)
Project/Area Number |
22592255
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
大渡 凡人 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (80194322)
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Keywords | 高齢者 / 高血圧 / システム同定 |
Research Abstract |
高齢者歯科治療において急激な血圧上昇は、脳卒中,大動脈解離などの重篤な結果を招きうる。このため、その予測は歯科医療の安全という観点から意義が高い。しかし、生体は高度な複雑系であり、従来の古典的な線形の予測手段は有効ではなかった。システム同定は計測データからシステムの動的モデルを構築する数学的手段であり、システム内部を明らかにする必要がない。このため生体制御予測には有用と思われる。本年度は、その基礎的データとして、高齢者の歯科臨床における入室時からの血圧変動についてretrospectiveに統計学的解析を行った。 対象は2005年から2009年の間に、高齢者歯科外来で観血的歯科処置を行った高齢者のうち、病歴などの患者背景が得られている1249名とした。、初診時血圧を4群、すなわち、N群:SBP<120mmHg and DBP<90mmHg, G1群:SBP140-159mmHg and/or DBP:90-99mmHg, G2群:SBP160-179mmHg and/or DBP:100-109mmHg, G3群:SBP≧180mmHg and/or DBP>110mmHgに分けた。各群の例数は、N群:723名、G1群:378名、G2群:122名、G3群26名であった。歯科治療開始後の血圧を、開始時(C)、局所麻酔時(LA),抜歯時(EXT)の3ステージに分け、それぞれの平均値を算出し比較した。その結果、N群は開始時よりLA,EXTにおいてSBPは上昇したが、G1,G2,G3群はともに低下しており、しかも入室時血圧が高いほど、低下幅が大きい傾向を示した。
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