2010 Fiscal Year Annual Research Report
口腔内炎症モデルでの視床下部ー下垂体ー副腎皮質系と脳内サイトカインの反応について
Project/Area Number |
22592258
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
前田 茂 岡山大学, 病院, 准教授 (50253000)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮脇 卓也 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00219825)
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Keywords | HPA axis / 炎症 / 歯科 |
Research Abstract |
口腔内は歯周病や智歯周囲炎など,炎症が容易に惹起される環境にある。炎症は視床下部-下垂体-副腎皮質系(HPA axis)を活性化させることから,口腔内の炎症においても同じようにHPA axisが活性化されることが考えられる。そこで,われわれは口腔内炎症モデルとして,ラット臼歯の周囲組織に歯周炎を惹起させる歯周病モデルにおいて,HPA axisの反応を調べたが,視床下部のCRH(corticotropine releasing hormone)と血液中のコルチゾールの変化は認められなかった。そこで,ラットの口蓋へLPS(lipopoly-saccharide)を投与した口腔内炎症モデルを作成し,HPA axisの反応を調べた。 100μg/25μlのLPS投与後,ELISAキットによりコルチコステロンの血中濃度を測定したところ,そのレベルは上昇したが,視床下部のCRH mRNAをreal-time PCRにより測定したところ,増加を認められなかった。そこで,200μg/25μlのLPSを同様に投与すると,視床下部のCRH mRNAが有意に増加した。また視床下部のinterleukin-1 mRNAレベルもreal-time PCRによって上昇したことがわかった。 以上のことから,口腔内の炎症によってHPA axisが活性化されることが示された。視床下部室傍核はストレス反応の中枢として,HPA axisと交感神経系を活性化させる。そのことから,口腔内の炎症により,ストレスや交感神経の緊張に関連する,高血圧などの循環器系疾患や,コルチゾールレベルの上昇による血糖値の上昇など,生活習慣病に関連した症状を惹起することが考えられる。また,CRHはうつ様のbehaviorをもたらすことから,口腔内の炎症を原因としてうつが惹起される可能性も考えられた。
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