2011 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素環境下の睡眠時の低酸素症に対する口腔内装置の効果ー呼吸パターンの解析からー
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22592267
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
野口 いづみ 鶴見大学, 歯学部, 准教授 (60103545)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹尾 真美 鶴見大学, 歯学部, 助教 (00205832)
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Keywords | 口腔内装置 / 低酸素症 / 高所 / 低圧低酸素 / 高山病 / 富士山 / 登山 / 睡眠時無呼吸 |
Research Abstract |
健康増進の関心の高まりを背景とし、中高年者登山者が増えている。登山は、生活意欲を高め、健康増進と病気予防、アンチエイジングに役立っている。最近は4000m以上の高所へ行くツアーも少なくなく、高所登山をする中高年登山者も多くなった。高所は低圧低酸素環境であり、曝露されることによって低酸素症、頻脈などの種々の生理的変化が惹起され、高山病を発症する場合もある。夜間睡眠時には呼吸抑制が生じ、低地では問題とならない程度の低酸素症が重篤なレベルに進行する場合もある。登山活動後には疲労が強く、睡眠時に舌根沈下から閉塞性睡眠時無呼吸を起こし、著しい低酸素血症や頻脈を起こす可能性がある。これらは、高山病、内科的疾患の発症、しいては突然死の原因になる危険性がある。特に中高年者に多いいびき症などの閉塞性呼吸障害を有する登山者で低酸素症の傾向は大きく、不眠が遭難事故の一因となっている可能性がある。このような者では、下顎を前方に引き出す効果がり、睡眠時無呼吸で有効性が示されている口腔内装置(スリープスプリント)が低酸素血症の改善と予防に有効性が高いことが推測される。口腔内装置は小型軽量であり、登山時の携行に適している。 今回、低圧低酸素環境で中高年者における睡眠時の低酸素症に対する口腔内装置の改善効果を評価することを目的として本研究を企画した。その結果、低圧低酸素室と富士山山頂で、夜間就眠時のSpO_2を平均値で4%程度上昇させた。口腔内装置の装着によってSpO_2が30%以上も上昇する者もあり、上昇が大きいものでは高山病の症状の改善効果も大きいと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
富士山山頂というアウトドアの研究では、天候などの自然環境の影響を受けやすく、台風などの影響を受けて、2年では十分にデータを収集できなかったが、想定内であった。今夏は追加資料を収集し、まとめる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究実施計画 富士土山山頂(標高377m)にて実験を行い、追加資料を収集し、まとめる。 1.被験者8名を対象とし、富士山山頂の研究施設にて睡眠時の口腔内装直の効果について検討する。2.被験者に富士山山頂の測候所に2連泊させる。被験者をランダムに2群に分ける。A群では1泊目に口腔内装置を装着させ、2泊目は無装着とする。B群で2泊目に口腔内装置を装着させ、1泊目は無装着とする。睡眠中にSpo_2と脈拍を測定するとともに、携帯用睡眠時無呼吸検査装画一S-300を用いて呼吸状態を評価する。本実験を2クール合計8名に行なう。3.両日の高山病の自覚症状(頭痛、消化器症状吐、疲労感、めまい、睡眠障害)を、国際低酸素シンポジウム(1991)で提唱された高山病重症度自己判定基準に基づいて問診し、スコア化する。4.研究代表者は研究協力者とともに、得られた結果を整理する。特に、口腔内装直の装着が高山病スコアを改善させる可能性について十分な検討を行う。5.学会にて発表し、論文にまとめる。
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Research Products
(2 results)