2011 Fiscal Year Annual Research Report
性質の異なる破骨細胞に着目した病的・非生理的歯根吸収機構の解明
Project/Area Number |
22592274
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉村 善隆 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (30230816)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土門 卓文 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (50217618)
菊入 崇 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (10322819)
|
Keywords | 歯学 / 歯根吸収 / 破骨細胞 |
Research Abstract |
本年度の目的は、性質の異なる破骨(破歯)細胞の(樹状型のM1マクロファージ型破骨細胞および巨大細胞型のM2マクロファージ型破骨細胞)を同定し、組織学的・分子生物学的解析を行うことであった。 マウスの種類によって、その骨髄由来細胞から誘導される破骨細胞の形態学的特徴が大きく異なるという報告があった。 この報告を確認するために行った実験の結果、ddYマウスの骨髄由来細胞から誘導される破骨細胞においては大型の核の数が多い破骨細胞が観察され、組織適合抗原ハプロタイプがH2KdDdバックグラウンドのBALB/cマウスにおいては小型の核の数が少ない破骨細胞が観察され、H2KbDbバックグラウンドのC57BL/6マウスにおいては前述の中間の大きさ・核数の破骨細胞が観察された。ddYマウスはクローズドコロニーであることから、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)の遺伝的背景によって破骨細胞の形態学的特徴が異なることが示唆された。 また、マウスマクロファージ様細胞RAW264.7細胞(RAW細胞)はRANKL刺激によって破骨細胞に分化誘導することができる。この分化誘導系において伸展刺激を加えた場合、小型で核の数が少ない破骨細胞が観察された。これはiNOSを介したNO量が関連していることが示唆された。さらに、活性酸素を除去する白金ナノコロイドを添加した場合、小型で核の数が少ない破骨細胞が観察された。また、抗酸化物質であるNACおよびGSHでもその濃度依存的に小型で核の数が少ない破骨細胞が観察された。以上の結果から、マウスの遺伝的背景のみなならず、破骨細胞の分化誘導系における培養条件等の培養環境の違いによって、破骨細胞の形態学的特徴が異なることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画と概ね一致した進捗状況であると思われる。さらに、新しい関連性のある知見が得られており、大きな成果が上げられる可能性が出てきている。
|
Strategy for Future Research Activity |
ddY、C57BL/6、BALBcなどマウスの種類によって破骨細胞の数・核数・形態の違いが観察されたが、そのメカニズムに関しては不明な点が多いため、その分子生物学的および細胞形態学的に解析を行う。また、サイトカインの種類・濃度ならびに細胞接触面の性状、伸展刺激負荷によっても、破骨細胞の数・核数・形態の違いが観察されたことから、その分子生物学的および細胞形態学的に解析を行う。
|
Research Products
(3 results)