2010 Fiscal Year Annual Research Report
入院患児の口腔粘膜病変と齲蝕に対する制御戦略としての糖アルコールの応用と検証
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22592284
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
仲井 雪絵 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (70284073)
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Keywords | 糖アルコール / 病診連携 / 齲蝕 / 口腔粘膜 |
Research Abstract |
血液がんや頭頸部放射線治療を要する患者の大部分に口内炎は出現し、摂食行動や口腔内清掃を極めて困難し、さらに本来の基礎疾患の治療スケジュールにも影響する。しかし入院患児は、そもそも基礎疾患の治療のため化学療法や放射線療法を受療し免疫低下や唾液流出機能低下、易感染性を有するため、通常の刷掃指導や食事指導、フッ化物塗布のみによる口腔管理で成果を上げるのは極めて困難である。したがって、入院患者の口腔ケアには齲蝕予防だけではなく、粘膜への対応も不可欠である。実際に日常の小児歯科臨床の場において、医科病棟に入院中の患児に対する口腔ケアの要求は高まっており、効果的な方法の検証は急務である。口腔乾燥の進んだ患児は多発性口内炎を併発している場合が多く、歯面に固く堆積した歯垢を機械的清掃法に依存して除去するのは、その接触痛により著しく困難である。糖アルコールの一種である天然甘味料キシリトールは、齲蝕原性細菌による酸産生と不溶性グルカンの産生を抑制する。そのためプラーク中のMSが歯面からはがれやすくなり、歯口清掃が極めて容易になる。キシリトールのみが菌数を減少させ、また長期間摂取しても、齲蝕原性細菌に「適応」が生じない。さらに、キシリトールは高い親水性を有し、最近は化粧品や歯磨剤の保湿成分としても使用されている。本研究の目的は、キシリトール溶液が入院中の患児に対して齲蝕の予防・進行抑制ならびに口腔粘膜病変の症状緩和に有効であるという仮説の検証である。平成22年度では、対象者に対して糖アルコール溶液による介入を実施し、齲蝕原性細菌数および口腔粘膜の乾燥度を順次データ入力した。統計分析するに十分なサンプル数にはまだ到達していない。次年度も継続して対象者をリクルートする予定である。
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