2011 Fiscal Year Annual Research Report
リン酸カルシウム置換型機能性ベクトルマテリアルに対する細胞応答の検討
Project/Area Number |
22592287
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
堀内 信也 徳島大学, 病院, 助教 (70263861)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木内 奈央 徳島大学, 病院, 助教 (30457329)
日浅 雅博 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (90511337)
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Keywords | 生体材料 / リン酸カルシウム / リン酸亜鉛 / リン酸亜鉛カルシウム / ハイドロキシアパタイト |
Research Abstract |
我々は、骨形成促進機能を有する人工骨代替材料を開発するために、リン酸亜鉛カルシウムを配合した亜鉛徐放性アパタイトセメントに関する検討を行っている。従来の研究では、リン酸亜鉛カルシウムと、リン酸1水素カルシウムとリン酸4カルシウムより成るアパタイトセメントと組み合わせることで、ハイドロキシアパタイトを形成しつつ硬化する亜鉛徐放性セメントを作成することに成功し、また、その材料上で、骨を形成する骨芽細胞様細胞を培養することに成功した。本研究課題では、我々が作成したセメントに対する、骨芽細胞様細胞の生物学的な応答性を詳細に検討することを目的に、材料上で培養した骨芽細胞様細胞の機能的な解析を行った。 リン酸亜鉛カルシウムを特定の比率でアパタイトセメントへと配合すると、骨芽細胞様細胞の細胞増殖能が活性化し、アルカリフォスファターゼ活性が上昇することがわかったが、配合比によっては骨芽細胞様細胞が死滅してしまうことがわかった。また、細胞の増殖能とアルカリフォスファターゼ活性が上昇する配合比においては、総タンパク量が上昇し、アルカリフォスファターゼ遺伝子発現が向上していることが観察された。骨芽細胞様細胞は骨を形成するにあたっては、(1)骨あるいは材料に接着し、(2)分化増殖し、(3)骨基質を産生するというプロセスを経るが、その各々のプロセスに応じて発現する遺伝子マーカーが特定されている。昨年の我々の検討では細胞の増殖と、アルカリフォスファターゼ活性の上昇といった所見と、コラーゲン、オステオカルシン、オステオポンチンなどの遺伝子発現マーカーとの間に相関性が得られていなかったが、本年度の検討の結果、アルカリフォスファターゼ活性よりも初期に発生する遺伝子はおおむねプロセスに沿った遺伝子発現の変化をみた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
セメントの作成から、骨芽細胞様細胞の播種を行うまでを一度に行うため、非常に実験のステップが多く、途中で不都合があると、その後の検討に支障を生じることが多い。さらに、セメント上で培養した細胞よりc-DNAを回収する際のばらつきが大きい。
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Strategy for Future Research Activity |
従来の検討ではセメント硬化体の硬化反応から、細胞播種までのステップを一度に行っていたが、セメント粉末の構成比を検討し直すことで、セメント硬化体の結晶成長が収束した材料を作成、ストックし、細胞を播種するというように、ステップを分割することで実験間のばらつきを減じていきたいと考えている。
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