2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規歯科用局所麻酔薬の開発と無針注射器(シリジェット)への応用について
Project/Area Number |
22592289
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
中川 弘 徳島大学, 病院, 助教 (70192218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋浦 明夫 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (00106353)
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Keywords | カプサイシン / TRPV1 / カプシエイト / QX-314 / 局所麻酔薬 |
Research Abstract |
【目的】通常の局所麻酔薬は容易に細胞膜を通過し、痛覚以外にも作用し不快な痺れや麻痺が起こる。近年、Binshtokらは細胞膜を通過できない局所麻酔薬QX-314とカプサイシン(CAP:TRPV1アゴニスト)を用いて痛覚のみを選択的に抑制した。しかし、その方法にはCAP自身が痛みを引き起こすという問題が存在する。本研究の目的はCAPに代わる薬剤を見つけることである。昨年度は、動物行動学的方法と電気生理学的方法により、QX-314を痛覚感知ニューロンに送り込むためには、TRPV1やTRPM8よりTRPV1を利用した方がよいことがわかった。そこで、今年度は、免疫組織学的方法を用いて、TRPV1、TRPA1およびTRPM8の効果を比較した。また、TRPV1のアゴニストであるカプシエイト(辛くない唐辛子の成分)を用いても効果があるかどうかを動物行動学的方法で検討した。 【具体的内容】《免疫組織学的方法》ラットを4群に分け、それぞれ動物の後ろ足の足底部にCAPと蛍光QX-314の混合液、AITC(TRPA1のアゴニスト)と蛍光QX-314の混合液、メンソール(TRPM8のアゴニスト)と蛍光QX-314の混合液および蛍光QX-314単独液を投与し、2週間後に後根神経節の細胞を摘出し、蛍光QX-314が取り込まれているかを蛍光顕微鏡で確認した。《動物行動学的方法》投与薬剤にTRPV1のアゴニストであるカプシエイトを用いた。動物を4群に分け後ろ足の足底部にカプシエイトとQX-314の混合液、カプシエイト単独、QX-314液単独および溶媒のみを投与した。侵害熱刺激は赤外線照射用いて測定した。 【意義と重要性】免疫組織学的方法の結果より、QX-314を痛覚感知ニューロンに送り込むためには、TRPV1やTRPM8よりTRPV1を利用した方がよいことがわかった。このことは、昨年度の動物行動学的方法と電気生理学的方法の結果を裏付けるものであった。従って、本研究ではTRPV1を利用することが結論づけられ、CAPに代わるTRPV1のアゴニストを探すことが目的となった。その候補として、CAPのような刺激がないカプシエイトを検討した。その結果、カプシエイトとQX-314との混合液群に麻酔効果が見られた。このことは、CAPに代わる薬剤として、カプシエイトが有効である可能性が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、カプサイシンに代わる薬剤を探すことであり、その候補としてカプシエイトを見つけることができたから。
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Strategy for Future Research Activity |
カプサイシンに代わる薬剤のもう1つの候補として、アナンダミド(内因性のTRPV1アゴニスト)がある。そのアナンダミドとカプシエイトの効果を比較することにより、どちらが、カプサイシンに代わる薬剤として有効であるかを決定する予定である。
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Research Products
(2 results)