2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22592295
|
Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
飯嶋 雅弘 北海道医療大学, 歯学部, 准教授 (20305915)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
六車 武史 北海道医療大学, 歯学部, 助教 (20343436)
|
Keywords | DLC / ブラケット / 矯正用ワイヤー / 摩擦試験 / ナノインデンテーション |
Research Abstract |
マルチブラケットを用いた矯正治療において、ブラケットとアーチワイヤー間のバインディング等の摩擦特性は、治療期間の長さを左右することから非常に重要なものと考えられる。本研究の目的は、複雑な立体構造を有する矯正用ブラケットと矯正用ワイヤーの表面にプラズマビームイオン注入法によりDLC(Diamond-Like-Carbon)を成膜し、DLC膜の矯正装置への応用を検討することである。平成23年度までに、2種類の矯正用ワイヤー(Ni-Tiワイヤー、ステンレス鋼ワイヤー)にDLCの成膜を試み、DLC膜表面の原子間力顕微鏡観察、ナノインデンテーション試験およびDLCを成膜した矯正用ワイヤーの摩擦試験を行った。その結果、成膜したDLCの表面粗さは、コントロール試料同様の表面形状を示し、DLC表面の荒さ値はコントロール試料と同レベルの値を示した。ナノインデンテーション試験では、DLC膜がコントロール試料と比較して、有意に高い硬さ値を示した。ステンレス鋼ワイヤーに成膜したDLC層は、コントロール試料と比較して有意に低い弾性係数を示した。市販ブラケットとの摩擦試験においては、DLCを成膜したワイヤーがコントロール試料と比較して有意に低い摩擦特性を示した。以上の結果から、プラズマビームイオン注入法によるDLC成膜は、矯正用ワイヤーの摩擦特性を改善することに有効な手法であることが考えられた。ブラケットに対するDLC成膜条件についても検討した結果、スロット内面へのDLC層の形成を考慮してワイヤーの場合と比較して厚いDLC成膜が望ましいことが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
矯正装置(ワイヤーとブラケット)へのDLC成膜を検討するにあたり、ワイヤーに対する成膜については、実験が終了し、投稿論文も国際誌に掲載された。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、矯正用ブラケットに対するDLC成膜の応用について検討する予定である。成膜条件の検討は終了しているため、ワイヤーの成膜で確立済みの同様の実験を行う予定である。
|